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それいつものことって ちょっ
決勝に進出 だぁ何故ってわからん ぷ♪

#1 点対称
 それは面対称であって点対称ではない。
 予選投票でも挙げたが、「狭くて、寒い」が独特の良い表現だと思った。それはその後に続けるためのものでもあるのだが、心の凍るような殺伐とした世界であることを示しているのだと私は読んだ。
 しかし、改めて読んでみるとどこかで読んだ以外の感想が浮かばない。非はまったくないのだが。

#2 美少女X
 まさか主人公がランドセルを背負っているとは思わなかった。これはやられた、そこまで、ランドセルという言葉の直前まで、それと矛盾するものはひとつもないではないか、と感心した。しかし、落ちのためだけの、炭酸水のような物語だと思った。
 「エロガキ」にすると彼女の品性が落ちるからやめたのだろうか。

#3 お迎え
 アサミちゃんはいなくなった父親のことをどう思っているのだろうか、という情報が不足しているのではないだろうか。それから、「生活パターンを変えて」とは収入がなくなったから働きに出るという意味だろうか。
 風を吹かせたりやませたり、セミを鳴かせたりすることは、ありがちとも言えるが、王道の演出とも評価できると思う。風鈴は、最初は鳴らさなくても良かったかもしれない。

#4 チャイム
 主人公と他の登場人物との距離感にぶれがあるように思える。主人公が両親がそれぞれ会議があると知っている家庭で、逆に両親が主人公の授業参観を知らないということはありうるだろうか。友達が見舞いに来てくれるような主人公が、学校を早退して感じるのは悔恨などではなくて孤独なのだろうか。
 それから、ところどころ漢字を用いないところがあるのもなぜだろうか。

#5 ソー・テンダー
 主人公のこの奇行は「so tender」だからであるという題名と読める。そうかもしれない。自己中心的な人物であれば、このような思考は持たないだろう。しかし、どこから最後の「世知辛い」が出てくるのだろうか。これはわからなかった。
 『翼の夢』作者としては、あるいはそれとは関係なく黒田皐月は、この子達がとにかく可愛く見える。よく分かんないけど、とにかく可愛い。それを阻害する難点は、ない。

#6 自殺願望
 「熱も少しあるみたいだ」は上手いと思った。あとはガイアの発想に反しているから嫌い。

#7 丘
 下敷きとなっているものを私はほとんど知らないので、なぜこのような話になるのかわからなかった。どこがわからなかったかと言うと、妄言を広めたのが犯人であることがある場で明かされて犯人が突然うろたえるということであり、その犯人に対して金目当てと罵られることである。妄言で金儲けを企んだ者が、今さらうろたえるものかと私は思うのである。それに、その展開は下敷きになっているものに対してどうであろうか。

#8 私の愛のカタチ。
 毎度毎度面白そうな題材を粗雑に扱っていま一歩の作品を量産していると思う。まず最大のものをひとつ挙げれば、最後の一文は間違っていると思う。それから、瑠璃がまずいと思っている肉のカレーを食べて斎が料理が上手くなったというのはどういうことか、そしてそれで嫁にもらおうかなどと言い出すのは甘すぎるのではないか。さらにこの肉を牛と似ていると言う必要はない。
 最初に言ったことと違うことを言ってしまうが、一度死ぬ殺すから離れたものを書いてみてはいかがだろうか。

#9 夕焼け
 最初の風景の描写が無骨ながらそれが良いと思っていたら、突然真昼が夕方になってしまった。真上から照らす太陽と晩秋が合っていないから、季節すら変わっているかもしれない。そこから急に犬が喋りだして、面白いことを言うのかと思いきやそうでもないまま終わる。いったいどういうことだろうか、という感想しか持てなかった。

#10 つまらない日々
 「自分で調べる」とあるが、美樹の胸のうちにしかないものを本人に問わずして何をどのように調べるというのだろうか、と思った。
 つまらない日々とそれを破る幻想を描くというのは、型としてはありがちだが描く人ごとの描き方があって、普遍的な題材だと思う。本作も、これはこれでひとつの答えであって、失敗だとは思わない。

#11 普通の女
 わからないことは主にふたつ。前の夫が再婚したと同時に主人公のお腹の子が消えてしまうとはどういう現象であるかということと、主人公の普通でない生い立ちが何であってそれがなぜ気味が悪いのかということ。
 それから、作品が終わった時点で主人公がどこにいるのかということもわからなかった。まだマンションの前であれば包丁を持っていることで通報されそうなものだし、ドアの前であればもう歩くことはないだろう。

#12 バタイユ
 初読では主人公と真暉子という、そういう二人を描いたものだと思ったのだが、改めて読んでみると、前半と後半にどのようなつながりがあるのかわからなくなってしまった。それから、おばあちゃんは崖から落ちた日からお風呂に入っていないとされているが、近所のスーパーで寿司を買っているらしい。他に誰かがこの家にいるということだろうか。

#13 橋の上
 最後まで読んで、この主人公は飛び降り自殺を考えていたのか、と意外に思った。徐々に深刻なところへ下りていくようで、良い構成なのかもしれない。しかし、そうだとすると、「一度ぼろぼろになった他人との関係性を、もう一度編み上げる気力はまだ沸き起こらない」は反転の要素であり、合っていないかもしれない。

#14 ヤマダさんち
 現実味が足りないように見えるのは、私がこのような事象を知らないからなのだろうか。なぜそう思ったのかを挙げると、事件の発端、あれだけの人が集まるまで主人公がそれをまったく知らなかったことがある。隣家を包囲するのだから、自宅にも警官が入ってくるものではないだろうか。それから、最後の「今夜が山だ」としている理由のようなものは作品の裏側にあるのだろうか。私には唐突に思えた。

#15 お前は計画性がないよな
 最後まで読んで、ああそういえばそうなるな、と思った。それから、少なくとも出だしは良いと思う。第一文の主張をその直後の具体的な話で裏打ちして、そこから展開させている。
 しかし、主となる話が頭のおかしい話になっているのは、私は好きにはなれなかった。最初からそういう系統で塗りつぶせば印象が違ったのだろうか。

#16 エッダの末裔
 これはきれいにできていると言って良いのではないだろうか。栄枯盛衰、その末路とは得てしてこのような世間の潮流から脇へそれたような、このようなものなのではないだろうか、と思った。

#17 『蒼の帳』
 最後に、え、爆弾なの?、と思ったのは、私の先入観のせいに違いない。
 情緒は純粋な形であると思う。悪く言えば、情緒しかないとも思えるのだが、そういうものと言うべきであろう。

#18 ありがとう
 この作品に、彼女がダメにならなかったことに男がどのように関与したのかということは必要ないのだろうか。これだけでは全体の中のひとつのシーンで、知っておくべき背景が足りないように、私には思えた。

#19 春だった
 基本的に主人公の独白なのだが、「背筋が奇麗なカーブを描いてしなる〜脳の中枢が混乱していく」の部分には他の誰かがいるらしい。それが誰なのか、あるいは誰もいないのか、私にはわからなかった。あるいは、この部分はなくても良いのかもしれない。

#20 警部エドガーの憂鬱
 最後の落ちに向けて進めている物語なのだが、主人公の心境の展開が強引、あるいは強調しすぎているのではないかと思った。殺人でも死体がバラバラであることで反応が急変するところ、現場を見てこれはとんでもないことになると思ったところに、そう思った。
 ところで、とんでもないことに「なる」ということは、連続殺人を予感したということなのだろうか。

#21 パソユタさま
 これは上手いと思う。落ちの上手さだけでなく、他の方の感想にもあるとおり、知っている人と知らない人の感覚の差が上手く織り込まれていると思う。ユタさま扱いもそうであるが、「私がそう説明すると所長は不愉快そうに黙った」というところも、そういうものだと思う。得てして年配かつ立場が上の人は、説明は良いから何とかしろ、という態度を取るものだという印象が私にはあるのだ。

#22 ばべぼぼぼべべ
 ああ、もうこの色香がすごい。偶然ではなく必然として作っているところがすごい。

#23 空色
 絵を描くという行為は小説の中で輝いて見えると、私はなぜか思っている。そんな良い空気がこの作品を満たしているように思った。投げやりとかそういった否定的なことではなくて、あくまで、自然。自然の緩やかな流れ以外の余計なものがないところが良いのだと思う。

#24 じいさんと乙姫
 十年分の生気を吸い取って少年がおじいさんになるとは、どういうことだろうか。
 前半の見るべきところは、果物好きのおじいさんの畑に野菜ができたというところだろう。ところで、このふたつには何の関連があるのだろうか。

#25 能面の話
 良い表情、とされているものが、いつどんなときに対して良いものなのかと問うてはいけないのだろう。
 構成としては、集中させるだけさせて最後に弛緩させるというきちんとしたできになっている。読者も引き込まれるだろう。そして最後に弛緩をして力が抜けたとき、そのときの表情を作中の女に指摘されるようで面白いと思った。千字のような短い作品ならではのものだろう。

#26 ティッシュの言葉に魅入られて
 ティッシュの言葉に従った結果、あと一日とされてしまったのではないかと私は読んでみた。予言はひとつの未来を先に示すだけなので逆らうことができると思う。対してアカシック・レコードはすべて結果として書かれているので逆らうことはできない。どちらが残酷かは、よくわからない。
 ところで、この主人公は鼻かぜであるにもかかわらず、学校ではティッシュを一枚しか使わなかったのだろうか。

#27 白いブランコの少女
 この少女は何者なのか、わからなかった。主人公にとってのみ特別な存在なのか、主人公ならずとも特別な何かなのか、少なくともただの少女には思えなかった。この少女を前に、主人公は真っ青な空が暗くなるまで見つめていた。その理由はわからない。淡い色で描いているところから、変質者的なものではないのだろう。
 ところで、夏だから長袖が失敗とは限らない。日差しに弱い子供もいるのだ。もっとも、そういう子はこういう行動は取らないのだろうが。

#28 先生が生きている
 語り部と小説家は違う。それに、万引きに対してニュートラルとは、それを汚点としている意識の中で、どういう意味なのだろうか。
 別の感想を述べると、この作品がニュートラルなのかもしれない。しかしニュートラルを伝えることそのものがニュートラルなのだろうかと思うと、実はニュートラルではないのかもしれない。

#29 友哉とその後
 随分と反抗的な園児だ、という感想で良いのだろうか。主人公が年長になって年少の子を迎えに行かなかったことで怒られたとは思うのだが、それは語られる必要がないのだろうかと思った。思ったのだが、主眼は前半にあるのだろうから必要ないのだろうと思いなおした。最後の一文は、これがあることでうまく締められているのだろうと思う。

#30 ウナギ
 『スケッチブック』(コミックブレイド掲載の漫画)のおかげで普通に読めたのはどうでも良い話。ウナギの血には毒があるのだが、加熱すれば素人がさばいても良いのだろうかと思ったことも、比較的どうでも良い話。
 写真を持っていくくらい、イッシー捕獲に行くくらいの人ならすぐに行きそうだと思ったことは、どうでもいい話ではないような気がする。

#31 真夜中の踊り場でキスをした
 わかりにくい。それは状況をすべてわかるようにしようという意図はなく、印象的な場面を描こうとしているからなのだと思う。
 その中で、最後に「足音が静かに響いた」というのは間違いだと思う。スチールの残響が聞こえるようなこの状況下では、駆け下りた音は高く響くだろう。

#32 翼の夢
 虚無の話ならば、川野氏の『年月』を代わりに差し込んでおくと良い感じ、かもしれない。

#33 夢見たい
 誤字が目立つくらい、精度が悪い。第一段落が主人公の置かれた状況を示す部分であるのにもかかわらず、どのように気持ちが滅入っているのかがあまりわかったような気になれない。
 最後、主人公はもっと打ちひしがれても良いのではないかと思う。

#34 ある夜明け
 これは何を描いているのだろうか、と考えることが間違いなのだろう。一場面を見せているという観点からすれば、泥が燃えるか滑るかして二人の行く手をじゃましそうなものなのだが、二人は颯爽としている。泥臭くはない作品である。

#35 紅玉
 時系列がわからなかった。どの順番で誰が傷ついたのか、好きではないので読みたいとも思わず、私は考えることをやめてしまった。「身包みを一枚一枚剥ぐような」から後だけならばわかりやすいのだが、そうしなかった意図が何かあるのかもしれない。
 それはそれとして、言い合いの後、「これ以上無駄な金を使うつもりはなかった」とはどういうことなのだろうか。

#36 午後の逢引
 兄弟の絵だけを通じて二組の男女の話が連なっている。そのつながりは絵以外には何もないので、何の話かわからなくなっていると思う。しかしこれは宇加谷氏の常で、その常のとおり、独特の空気や他の作品との関連性はうまくできているとも言えるだろう。

#37 白い髪の女
 作品が増えるごとに、euReka氏の死生観が出ているように思えるが、未だそれはわからない。生臭さを捨てた静かな死を、違う話にしながら何度も描いているのだろうか。

いつものことですが、死に関わりのある話はいくつもあって、やはり被りました。投票で作者の意図しない感想があったのですが、『翼の夢』は死を書いたものなのです。

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