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4 『時を忘れた時計屋の話』 石川楡井 898
テキストの成型がすごくきれい。
様式を楽しめるので、何が描かれているのかは無視しても楽しめるのだけれど、それならば、いっそ無機質に振ってしまっても良かったのではないのかなとも思う。ひきずった恋愛のもつれを載せるよりも、作意が際立ったのではと。

5 明るい もてあまし 339
小説っぽさが足りないなあという印象。
私と、私の周囲と、私がタバコの煙に思いを寄せるところにフォーカスがあたっているのみで、もうすこし手を差し伸ばしてもよかったんじゃなかろうかと。真夜中の公園の様子を描くことも可能だし、描かないことも可能だったけど、今回、書かなかった理由が分からなかった。
私の言う小説っぽさというのは、主に構成のことで、例えば「家に着く頃にはアイツも雲になってるかな」というところをポイントに持ってくるのだとしたら、そこが盛り上がるような組み立て方もできた。あくまで従来の小説を真似することで得られるっぽさだけれども、それを読むだけでも面白い。

6 Bライン 蒼ノ下雷太郎 815
踏み込み方が足りないなという印象。
私の見たものと、それに対する私の考え方と、それを話した相手の反応、というところが書かれている対象で、どこをふくらませても良いと思うのだけど、相手の反応への踏み込みをもっと深めることができたのでは、と個人的に感じました。
私の考えたことに共感を得られなかったけれども、もしかしたら相手が違えば反応が違ったかも知れず、あるいは相手のほうが特殊だったのかもしれない。

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