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1 ラン・ホース・ライト アンデッド 515
抽象的過ぎて説得力に欠けるんではないか。
語り手、男、男の周辺、男の過去と未来といったところだけでなく、もう少し外部の情報も欲しい。男とは違う境遇の人物を増やす、あるいは男と同じ状況の人間だが世界観の違う人間を出すことによって、イメージをより明確にすることができたのでは、と思う。この簡素さが生み出すもやっとした味わいを否定するわけでもないけれど。

2 人間観察 のい 681
息子の目がどんな風に濁っていくのかをまさに見たいと思う。
俺、俺の見た風景、蝶々、息子といったところが書かれている。外部といった意味では、「女子高生が変な顔して俺を見た」や息子の反応が該当するのだと思うけど、あくまで俺の世界が中心で、狭い。
小説が作者の人生の所感の表明ならばこれで十分なのかもしれないけれど、小説は人間の研究結果の発表と考えると、もう少し好奇心をたくましくさせて、作品世界に色取りを足し込んで欲しいと思った。

3 一滴の救い 葉っぱ 835
既視感のある題材だが、文体はマッチしていたように思う。
ただ、これも描かれている世界が狭いんじゃないだろうか。わたくしの視点から、母親や兄、家族の話は出てくるものの、家族、家族、家族の話しかない印象がある。
近親相姦というものが、社会的タブーである以上、「わたくし」は社会を知覚している。彼女にとって社会とはどんなものだったのだろうか。とは言え、これはそんなに世界を広げないほうが良いのかもしれないけど。

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