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 今期は誤字脱字や不自然な表現に気を取られることが多かったように思います。

「rocketttt」
 よくまとまっているが、素材も主題もありふれている。
 ただの火遊びではなく、そこになにかひねりがあると面白かったはず。

「お支払いはカードで。」
 流れは悪くないが、語り手がなぜこのような状態になったのかが少しもわからないので、なにがなにやらさっぱりわからない。「カードで」という一本調子だけが目立つ。決め科白と言えるほど魅力的には感じられなかった。

「憩いのひととき」
 冒頭の「仕事の事みたいな面倒な事」という表現(事が重複)ではやくも話の腰が折られている(語の重複は以降、何度もある)。
 全体に、紋切り型の表現を切り貼りしている印象。独自性がどこにも感じられないばかりか、文章表現に大いに難がある。
 作中では時代も場所も特定されていないが、「円」というからには日本であろうし、携帯電話メールで職場から連絡がくるということはかなり現代に近いと考えられる。なのにミルクティーをウェイトレスが持ってくる店で一杯二百円が高いとはどういうことか。実は語り手は外国人労働者で不当な労働を課せられているのか。不思議である。

「真夜中の待ち合わせ」
 「体を腕で囲む」は、叙情を描こうとしているらしい文章なのに、すっかり興ざめ。

「仰ぐ空と花言葉」
 「古ぼた公園」は、「古ぼけた公園」か。
 この作品は幾度か推敲されたらしく、努力のあとは見えるが、作中にはまだ不可解な部分がある。
 もっとも気になるのはツバキ。冒頭で印象づけようとしているが、アングレカムとの対比は弱い。もしかしてヤブツバキの花言葉と関係があるのかと思って検索してみたが、関連性は感じられなかった。

「君の瞳」
 「遅すぎるスタートから、僕はスタートした」。こういう表現が第一文にあると、たまらない気分にさせられる。しかもこの作品は普通の小説ジャンルではない文章(よくわからないが)を目指しているらしいのに……
 「第一話」で始まり、以降は「章」となっている。誤字か。

「The Little House」
 演劇を文章にするのは難しいと思うが、この作品は上手だと思った。無駄のない文章で、情景がよくわかった。役者の心情は役者の行動が描かれていることで伝わってくる。
 気障な科白も、「衒学的な」翻案の劇中のものとすれば格好いい。使い方が上手い。
 少ない字数なので演劇場面だけを丁寧に書いてもよかったのではないか。

「剥がれてしまったので」
 よくできている。現実的な場面から幻想的な方向への移行がスムーズ。阿刀田高っぽい。でも千字じゃ足りないな……という印象。もう少しいろいろ描写できそう、と思ってしまう。なぜ魚?なぜ疲れていた?など。

「数学と生活」
 文章が上手だったら面白く読めただろう。発想はよい。
 「熱心な態度」の主語が「私」かどうか不明。
 「依然」は誤字か。

「そして私は月光の道をたどり、この場所へ帰ってきた」
 使用されている文体と描こうとしている内容とがちぐはぐに感じた。結局なにを狙っているのかよくわからない。
 いびつなリズムの文体だが一本調子なので、最後の場面の盛り上がりが伝わってこない。

「頃合」
 饒舌体は、ただ一文を長くすればよいというのではないはず……この作品はただ読みにくいだけだった。不自然な表現が多く(特に「続かなさぶり」「気の持ちようしだい」)、「気になっていたこと」もわからぬまま終り、がっかりした。

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