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読むのは書くより難しい。
点は10点満点。

1. 4/10
離婚して間もない女がオフシーズンのスマトラ島を訪れ、ツアー先で一緒になった同年輩の男が野生のスマトラ虎が見られるといいなと言ったことに同意する。
根拠もなく予感を抱いてしまう人というのは些細なことにもしっかりとした感想を持ってしまう人であるという人物造詣に注目。

2. 2/10
友達の恋人に強姦され宿した子を自分の意思で産んだ女が、複数のパート仕事を掛け持ちながら乳飲み子を育てる。
子供の存在がとても稀薄であることに注目。

3. 2/10
数年前に都会に出て行ったっきり帰ってこない男を待っている女のもとにその男が唐突に駆けつける。
お百度参りするほど思い詰めている女であることに注目。

4. 3/10
学校に通う猫が先輩猫と猫部というごろごろすることを目的とする部活動を発足させる。
元気いっぱいだ。

5. 3/10
子供が、星を連れる暗闇が黒猫を丸呑みにしたりパパとママがポーカーをしたりする夜のことを語る。
千里眼の語り手であることに注目。

6. 4/10
飼い猫が、知り合いの老猫から自殺する猫がいることを聞かされて生きていく思いを新たにする。
鈴の音のように軽快。

7. 3/10
親しい人に毒を盛らずにいられない少年が、生き物を処理して瓶詰めにすることを趣味とする醜い少女と8年以上の交際の末に共に暮らすようになると、その少女に毒を盛り、脚を切断しようとする。
少年の輪郭がおぼろげであることに注目。

8. 4/10
空飛ぶ玉座に乗った元始天尊が湾に現れ、津波を起こし、灯台を折り、太古の自然をもたらして人間から文明を消して去っていく。
老人に襲われる人々側だった語り手が、人々が言葉を失った後も言葉を操っているところに注目。

9. 3/10
7時には家を出ようと決意していた少女が15分に家を出ることにする朝のひととき。
料理も4コマ漫画もニュースもその内容に意識が行っていないことに注目。

10. 5/10
千円札がくじ券になっている宝くじを購入し、浮浪者にそれを施した男が、購入したくじが当選したことを知って取り返そうと、金属バットを持って浮浪者と対峙する。
語り手が先輩の言葉を鵜呑みにしてしまうような人間であるところに注目。

11. 5/10
陸上部の後輩が、先輩の高跳びに見惚れる。
二度使われる「ためらうような一瞬」という文章がルーティンの結末として上手く作用していることに注目。

12. 4/10
過去に肉体関係のあった女が酒気を帯びてやって来るのを迎えた男が、女との情交の最中に考え事をする。
「気持ち良かった」という台詞が、女の情交の理由に思い至ったことと呼応しているところに注目。

13. 3/10
豚と呼ばれいじめられていた男が、大学に進学して動物を飼育して食べるサークルに入り、大学側に無断で育てた豚を食する。
豚そのものについては何も語られていないことに注目。

14. 3/10
祖父の死と共に祖父が飼っていた犬と暮らすことになった少年が、犬を通して祖父のことを思う。
少年が、ほとんど記憶がないにもかかわらず祖父のことを偏屈な人だと思っていることに注目。

15. 4/10
俳句の勉強の様を記したものが小説として成立するのかどうか語り手が心もとなく思う。
ですます調が軽やかに作用している。

おしまい

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