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〉18 『空と風と水と』 吉川楡井 1000
〉さいきんほんとに日本語を読むのがかったるくなって、といっても他の言語がわかるわけでもなく、これからもずっと日本語かよ、とか思うとうんざりするんだけど、例えば「白い和毛の生えた膚が青空を背にし聳える赤い山稜の前を横切ると、疲弊と空腹で霞がかった視界に爽やかな風が宿り、遠のいた意識も辛うじて蘇った。」みたいなのがもう読めない。
〉味わう部分なんだけど、こういうのがもう読めない。長い。線で描くとこんぐらがった文意だけど、こういうものが受け付けられない。目に映る映像と、内面が混載された文だけど、こういうのがだめなんだろうな。あと、「靄」のあとに「爽やか」とか。言葉からは印象を受ける。その印象のアップダウンの差が激しいと、もう受け付けられないのかもしれないな、とか。白と赤もそうだな。青もあるし。色とか、身体感覚とか、もうほんと混ざり過ぎで忙しい。ここ、比喩で示したら良かったんじゃないのかな。ぶわーっと。それかもう、いっそ絵でいいよとか思った。


やはりこれに触れなければならないと思うと嫌気が差すのだが。
被災の現場にいる僕にとって、この短期間に視た情報は、ひどく多すぎた。
目まぐるしいというのはこのことで、頭に詰まった混沌、溜まったフラストレーションを吐き出すには僕には小説しかなかった。結果生まれたのが本作であり、それ以上でも以下でもない。表現のコントロールを失った作品の典型例だ。
フィクションは逃げ場にはなるが救いにはならない、と思うこの頃。こんな状況下にいる人間が何かに逃げるという行為を不謹慎と思うむきはさすがになかろうが、逃げ込んだ先もまた震災の影響を受け、しばらくは呪縛から解放されないと思うと、逃げ場にもならなかった。
これを創作的被爆と呼ぶなら、某県民に要らぬ視線が差し向けられているのも仕方のないことかもしれない。本作を客観視するとそんなことを思う。『空論と風評と水害と』それが本作の正式名称。


なんてしょうもない話はおいといて、心機一転、次回がんばります。
ありがとうございました。

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