仮掲示板

73期決勝投票のコメントについて

73期の決勝なのですが、ぼくとしては滑稽なくらいに思えたので、一言掲示板に書いておきたいです。
優勝作品は「ミクの一番好きな匂い」で、まあ作品についてどうのこうのいうつもりはないですが、ぼくが「何これ?」と思ったのは、投票コメントの内容です。

べつに、とりたてて作者に対する愛着で投票するなとは思いませんし、作者名が明かされている以上皆少なからずフラットに見られない面もあるかとは思うのですが、それにしても「ミクの一番好きな匂い」への投票コメントにはほとんど、(何故だか)「吟味」するという意思が感じられない。ぼくは「短編」というサイトの面白いところに、「決勝投票」があると思っていて、それはこれが「再吟味」の場であるからです。

ざっと一読すればわかりますが、単純な作品に対する印象を述べられているのがほとんどで、他作品に言及しているものはほとんど無く、中には作者の人格を加味したコメントまであります。ぼくが言いたいのは、それはあまりにも想像力が欠如してるのではないか、ということです。言い方は悪いですが、これでは単なる身内の投票だと思われてしまう。じっさいにそうなのかどうかはぼくに判断できるところではないですが、ぼくには少なくともそう「見える」ように書かれているように思えます。

で、まあ砕いて言うならば「身内投票でもいいから、せめて考えて書けよ」ってことです。少なくとも推す作品が、他作品と比べてどう優れているのかを書かなければ、「決勝投票」というシステムが何の意味も為さない。「他作品に言及しない」という方法をとることは、「他作品に比べて優れた点を提示しない」つまり「再吟味しない」ことであって、それでは「決勝投票」が何の意味も為さないと、ぼくは思うわけです。で、こういった見方をする人を想定できないままにそれぞれが投票コメントを書いたのだとすればそれは、単純に想像力が欠如していると思うのです。その行為は決勝に残った他作品の作者に失礼ですし、むしろそれ以上に森下萬依さんに失礼です。

「うどんだよ」「水の線路」への投票コメントと併せて読むと、象徴的なくらいに滑稽だとぼくは思ったので、こうして掲示板に書かせてもらったしだいです。言葉に触れるということは、それが正しく伝わるかわからない緊張感に触れるということでもあるわけで、あまりにも弛緩した内容のコメントを、何より「小説」を投稿するサイトで書くというその慎みのなさが、ぼくには理解できません。コメントを書いた人が、これを読むかどうかはわかりませんが、言葉が届く射程距離圏にはあると思うので、こういう見方をする人もいるのだということを考えてほしいと思います。

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