仮掲示板

69期感想 5〜8

 全感想の二つめです。我ながらあまり意味のない感想で恐縮です。作品を書かれた方にも読まれた方にもあまり得るものがないなぁと思うのですが、そこはもう、謝るしかありません。


配給 ひょっこいKさん

 それまで作ってきた世界観とオチとの乖離はあると思うし、自然に繋がっていると思うのですが、かけ離れているわりにはインパクトがないかなぁ、と思いました。真相を打ち明けられて、「そういうことか!」と思うような作品は、ついつい読み返して、ここがこうつながるのか、と確認までしてしまうものですが、本作にはそう駆り立てる何かがなかったです。いや、僕は、ですが。こういう作品書くのって難しいですよね。
 「運動場覇権争い」の後はサッカーやらドッジボールやらが待っていると思うんですが、まあ昼休みも彼らにとって「慰み」であるはずです。そう考えると「食べるという行為は、我々の唯一の慰み」は言い過ぎです。すごく細かいところですけど、給食以外での慰みの片鱗を残してしまったのはまずかったんじゃないかと思います。
 彼らのクラスは覇権争いには余裕で勝利したはずなので、その分楽しい昼休みを過ごせたことと想像します。それで罪も帳消しというか、みんな忘れたと思います。よかったね田村。


自己責任 笹帽子さん

 「なるほどなー」とも思いました。けれどもうちょっと伏線張ってもよかったように思いました。「ホント俺ってやつは〜〜」の台詞が突飛すぎるように聞こえます。後から納得がいったとしても、「これって筆者の間違いかなぁ」という類の違和感を持たせるのは本意じゃないだろうと考えます。
 三人とも未来から来た少年で、一人目と二人目は少年を殺そうとした、ということでいいと思うのですが(もちろん読者が空想を膨らませる余地は残っていますが)、そう仮定すると二人目の行動がちょっと意味わからないです。一人目に銃を向けたのはなぜなのでしょうか。一人目は殺そうとしたけど、二人目の銃は実は催眠銃かなんかで、過去の自分を改造してなにかやらかそうとしたとか、二人の動機が違うんなら腑に落ちるんですが。
 いろいろ背景を想像してしまいましたが、いくつかのパターンにおいては物語が破綻することなく終われます。読者に物語の大部分を委ねてしまうというのも僕は嫌いではないし、オチにインパクトを持たせることより謎を残すことを重視したのならば良作かと。
 ただ、感想を書く為に何回もじっくり読んだという読者以外に対しては、真剣に考えさせる力は少ないかもしれません。


擬装☆少女 千字一時物語30 黒田皐月さん

 うーんなんだろう。こう、特にないです。こういう言い方はマイナスに取られがちですが、すっと入ってきてすっと出て行った文章でした。ところどころ引っかかるところもあったのですが、読み返して吟味してみると「ああ、そうか」とすとんと落ちました。何も残さないものは悪いものという評価もあるでしょうが、そんなに悪いものでもないと思います。
 正直に申しまして、女装というものへの生理的嫌悪(いや、学祭やらイベントで女装したことも何度かあるし、嫌悪というほど嫌ってもいません)からこれまでも避けていましたし、読むときも先入観はありました。申し訳ないことです。ですが全感想書こうと奮い立っていろいろな角度から読んでみると、素直に文章力高いなぁと思いました。僕自身が題材に興味が持てなくて引っかかるところが少なかっただけで、文章自体はクオリティーが高いと思います。ここに僕も食いつくテーマがあったら、他の何にも邪魔されずクリアに伝わったことだろうと思います。自分今まで損してたな、というのが一番の感想です。
 しかしビジュアルって大事ですよね。彼は美少年だと想像しますが、そうでなければみんな毒気を抜かれた笑いはできないだろうと思います。


ROLLは何処へ消えた? 影山影司さん

 僕はロックンロールの表記は「Rock ‘n’ roll」で見慣れているのですが、この表記は間違いではないのでしょうか。ほんとに僕って細かいことばっかりですね。
 何か物足りない感じはあったのですが、すごくおもしろかったです。
 下世話な好奇心ながら気になったのは、「抜き取るとき、こっそり腹の中に零した」のところです。どうやったんだろう、そしてどうなったんだろう。
 それと「バンギャ」と敢えて使うのならば、それが指す者は狭義でのバンギャであるはずです。多少の語弊はあるでしょうが、ビジュアル系のライブで手をクネクネさせて奇妙な踊りをする女の人たちのことです。彼女たちはギターヒーローに群がっているのではありません。では何に群がるかといえば、ちょっと長くなりそうなのでスミマセンが省きます。バンギャの生態というのも興味深いものがあるので、ライブハウスにでも行くことがあれば観察してみてください。高田馬場の「AREA」というハコがあるんですが、そこバンギャがたくさん出てきます。見てるとおもしろいですよ。
 話が逸れました。「Like A Rolling Stones」から察するに、この作品で触れたかった「Rock」とはヴィジュアルロックではないと思います。退廃的、破滅的と言ってもベクトルが微妙に違う気がします。なので「バンギャ」ではなく、なんだろう、「グルーピー」あたりのほうがしっくりくるのかなぁ、と思いました。



 明日早いので今回も中座させていただきます。
 本当に細かいことばかりで大事なことをたくさん取りこぼしていそうです。
 それにしても書いていると作品と膝つき合わせて語りあっているようで、ああ、こんな楽しいことなのか、と思います。まあ神経と時間は使うので、四つ書いただけでも額に脂汗滲んできますが。

Re:69期感想

感想は、読んで思うことはともかく、書きたければ書く、書きたくなければ書かない、そういうものだと思います。ただ、書いてもらえると嬉しい。そして、その分量は人それぞれなので、何かに合わせる必要はないと思います。ただ、多いほどに読み応えがある。
せっかくの感想への返信が黒田皐月というのも面白くないのですが、お礼と問いと、無反応はよろしくないだろうという気分から、返信を書きました次第です。

〉擬装☆少女 千字一時物語30 黒田皐月さん
〉 何も残さないものは悪いものという評価もあるでしょうが、そんなに悪いものでもないと思います。
これは誤解かもしれませんが、作品や掲示板などを全部読んでいる印象を持ちました。

〉 ですが全感想書こうと奮い立っていろいろな角度から読んでみると、素直に文章力高いなぁと思いました。僕自身が題材に興味が持てなくて引っかかるところが少なかっただけで、文章自体はクオリティーが高いと思います。ここに僕も食いつくテーマがあったら、他の何にも邪魔されずクリアに伝わったことだろうと思います。
文章力とは何だろう、先月から今でもわからずにいます。言うほど質の高いところなどあるのだろうか、と。内容、構成、あるいは文体。先月は構成は挙げなかったのですが、偶然の産物で構成がそこそこにできていたのか、などと思っております。

ともあれ、第69期のすべての作品への感想、お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

Re*2:69期感想

 黒田さんには以前僕の作品に票を頂いたこともありました。お礼の一つも言えませんでしたが密かにありがたく思っていました。こうしてお話できることを嬉しく思います。しかも今回の感想は、言葉足らずなせいでもしかしたら黒田さんにはとても失礼に映ってしまうのではないかと危惧していましたので、暖かいお言葉、ありがたいです。

〉感想は、読んで思うことはともかく、書きたければ書く、書きたくなければ書かない、そういうものだと思います。ただ、書いてもらえると嬉しい。そして、その分量は人それぞれなので、何かに合わせる必要はないと思います。ただ、多いほどに読み応えがある。

 そうですね。ただ人様の作品を論じるということはかなりの責任を負わなくてはなりません。その覚悟ができず、書きたいけど書けない、と思っていました。書いてはみましたが、100%自分の神経が行き届いている書き込みという出来でもなく、お見苦しい点が多々あると思います。でも「書いてもらえると嬉しい。」とのご発言、書いた方もとても嬉しいです。

〉これは誤解かもしれませんが、作品や掲示板などを全部読んでいる印象を持ちました。

 こちらに投稿を始めたのは39期からですが、実はそのころから掲示板も作品もずっと見てました。多くの議論に参加しなかったことを残念に思います。思うところはあったのですがずっとモジモジしてまして。

〉文章力とは何だろう、先月から今でもわからずにいます。言うほど質の高いところなどあるのだろうか、と。内容、構成、あるいは文体。先月は構成は挙げなかったのですが、偶然の産物で構成がそこそこにできていたのか、などと思っております。

 たしかに「文章力」なんて定義の曖昧な言葉を使うべきではありませんでした。この場合は僕が目指したい、手に入れたいと思う力のことで、「描写がうまい」ということだと言ったら近いかもしれません。今作も、最近読ませていただいたのですが過去の作品も、風景や動きを文章に乗せることがとてもうまいな、と感じました。
 いくつかの作品には、その作者の方には失礼な言い方になってしまうことをお許しいただきたいのですが、文章に書いてない部分を自分なりに想像して補う作業が必要だったりします。『擬装☆少女 千字一時物語30』にはその作業が不要でした。感想に書いた「すっと入ってきてすっと出て行った文章」という箇所を詳しく説明するとこういうことになります。
 それと素直に、僕の好みの文章だったというのもあります。具体的に好きな文章とはどんなものか、というよりは、感覚的なものなのですが。
 『擬装☆少女 千字一時物語30』は、何かの問いや強い意志を投げかけたり、巧みな展開で読者の心理を動かそうという類の作品ではなく、風景を描いた作品ではないかと感じます。その描写の妙に感動しました。

 「言うほど質の高いところなどあるのだろうか」と黒田さんが仰るのは、そうした描写の力を黒田さんが意図しなくても発揮できる文体としてお持ちだからじゃないかと思います。僕も早くその域まで達したいものです。何か投げかけるにしても巧みな展開を設けるにしても、伝えるテクニックは必要ですから。


 感想に続きまたしても長々とすみません。
 こうして作品や「文章を書く」ということについてお話させていただくということはとても楽しいことですが、実生活であまり機会がありません。ですのでつい饒舌になってしまうこと、お許し下さい。
 あまり質もよくない感想に、黙殺することなくわざわざお返事をいただけたこと、深く感謝いたします。

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