仮掲示板

175期 感想の感想

以前、誰かが「感想の感想」みたいなものを掲示板に書いていたのを思い出したのでマネしてみました。
私の作品への感想に対して、逆に私が感想を書くという趣旨です。
「⇒」の後の文章が私の感想になります。

※数時間前に投稿したものを少し書き直しました。内容は変わりません。


●掲示板

【第175期への感想/弥生 灯火さん】
部屋 ☆
王様、と出てきたのでファンタジー系等の作品かな? と思ったらそうでもなかったです。
アパートやら給料計算やら妙に現代っぽい生活感を出してあって、最初に読んだ時なんか変な作品だなあと。
ただ、二度読みするとそうでもなかったです。王様や侍従長、宮殿という語句だけが浮いてる感じ。
なのでタイトルを『部屋』にしたのかなあなんて。

結末的に読後感が悪くなってもおかしくないのに、全くと言っていいぐらい悪くなかったのは凄いなあと思いました。


⇒ 『部屋』というタイトルは、部屋が主な舞台になっているからということと、王様は出てくるけど王様の話ではないからという理由で付けました。
読後感が悪くなかったというのは、冗談ぽい話にしているからかもしれません。


【第175期の感想/岩西 健治さん】
「部屋」
 雇う側と雇われる側があって、登場人物はすべて雇われる側、所謂、労働力である。では、何に体する労働力なのであろうかと考えると、王なのだから、国を統治する者であるとも言えるが、この場合、国より小さい単位、例えば、県であったり、市であったり、町であったり、村であったりするのであろう。経営陣は中央にいて、統治役の王を各地に配しているという構図。それぞれがそれぞれの役回りをこなしているだけで、宮殿の中に特定の支配者はいないように見える。侍従長が指示をしたのは、その職場に一番長くいたからであってのことであろう。月一程度でまわってくる本部からの経営陣のひとりが宮殿での役回りを管理しているのである。中央が支配するコンビニ経営のようでもあるが、無数に存在する歯科であったり、最近多く見かけるコインランドリーのようであったりもする。

⇒ここまで細かい設定は考えていなかったので、なるほどなと思いました。
王の仕事は国や地域を統治することであり、一般的な意味での「労働」とは違うものですが、それをあえて労働として捉えた場合の究極的な姿が、この物語に出てくる王様なのかもしれません。
あるいは、労働者としての王様を掘り下げる方向で物語を書いても面白かったような気もします。


●予選

2017年4月23日 20時7分48秒

給料のあたりでにやにやしてしまったのが悔しい。現代的な王だ。王様ってどん詰まり感がある。


⇒王様は、その地位より上の地位がないとか、最終的な責任を取らなければならないという意味では「どん詰まり」かもしれません。


2017年4月23日 16時25分39秒

 面白いし、作品を娯楽として見た場合の皮肉やオチといった面の構成もしっかりと出ている。最近、安定していると感じる。


⇒娯楽として書いたつもりはないのですが、娯楽として楽しめるものを書けたら最高だなとは思います。


2017年4月16日 19時50分40秒

お伽噺のような背景をもちながら、歪なほどに細々とした生活状況が描かれていて、
そのギャップにまず惹かれました。話の流れ自体がいっそチープなぐらいなのもよくて、
8 畳間の間仕切りカーテンの演出もよかったです。考えどころの多い話でもありました。


⇒チープな話の流れになったのは、王様のような暮らしがどういうものか知らないから、という事情もあります。ならばいっそのことチープに書いたほうが面白いのではないかということで、こういう話になりました。


●決勝

2017年5月7日 9時41分9秒

予選で票入れして決勝に残ったのは「部屋」と「夜桜」
感想で書いた通り、「夜桜」はタイトルを微妙に感じ、部屋には納得いく読後感があったので、
「部屋」に投票します。


⇒小説は、最初と最後をどうするかが一番難しいと思います。最初が退屈だと読む気を失いますし、最後がいまいちだと全体がつまらなく感じてしまいます。


2017年5月3日 21時16分23秒

#9
完成度なら一番、だからつい厳しい読み方をしてしまう。鮮烈なイメージがほしい。


⇒「鮮烈なイメージ」というのが、心に届く何かといったものであるなら、確かにこの作品には、そういうものはあまり無かったかもしれません。


2017年5月3日 21時10分14秒

めちゃくちゃ評価できる作品が今回あったとは思わない。
 前回、前々回と安定して作品を発表している作家の安定した作品が上位に並び、まぁ、妥当な状況だなぁといったところが今回の総評となる。
「部屋」は構成もしっかりとしていて、読み物、娯楽として面白い作品だと思った。裏を返せば構造に不備がない分、パターン化した作品創作の過程のようなものをどうしても感じてしまう。どうしたら作品が面白くなるのかといったセオリーや、テキストのようなものを作家が意識的か無意識的かは別として取り入れているのは分かる。それを踏まえた上で尚、娯楽として楽しいものを創作していることには感嘆している。


⇒確かに、「パターン」のようなものが見えてしまうと、興ざめしてしまいます。なので、パターンを使う場合でもそれが見えないようにする工夫は必要ですね。
「セオリー」については、私はただの素人ですが、もう10年近く小説を書いているので、自分なりのセオリーのようなものはあるのかもしれません。でも、何をどう書いたら面白くなるのかなんて未だによく分かないのが正直なところです。もしそれが分かったらプロになれるでしょう。あるいはプロでも、難しい問題なのかもしれませんが。

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