仮掲示板

162回の感想

 今回、作品数は多かったが誤字・脱字が目立っていた。

「埋め干し」
 酸素マスクを剥ぎ取ったということは殺人か。脳内処理で作った設定は夜勤であったが、実際は昼間だと気づく。昼間なのにこの人のいない感じは何? なぜ「梅干し」ではなく「埋め干し」なのだろう。作品を読むと単に変換間違いにも思えるが。読者があさはかなのか。説明を求めたい。梅干しを描いているのに読者の唾液腺は刺激されなかった。※書き出しを一文字空けない。

「伸びーる、伸びーる」
 個人的に男女間の話は好きではないので、今回の作品は好感が持てた。しゃくしゃくとはいい響きである。前々作、前作を通して、作者はカラッとした作品を書くと思っていた。今回もそうだ。会話部分を「」書きしないで、いけしゃあしゃあと流しているところなんかにカラッとした印象を持つのだろう。鬱から晴れやかに外出するまでの流れに人間味がなくて、何か嘘っぽい。これまでの成績から期待していた程のものは得られなかった。手堅くまとめた感じに思うのは、前々作、前作の評価が良過ぎた弊害か。※書き出しを一文字空けない。

「馬頭」
 短か過ぎる。なぜ馬を数えるようになったのか。特殊な装置とは。変人扱いされる理由とは。など作品の深みを広げる要素は必要であると思う。まだ骨格だけで肉のついていない印象だ。ただ、気になる作品ではある。※書き出しを一文字空けない。

「古の都」
 旦那のいる女と離婚をした男。15年前と変わらないということと5年生(11歳)の子供がいることを踏まえると、例えば、大学で一緒(18歳)で21歳で結婚して11歳を足すと32歳である。でも、21歳だとまだ学生だからこの推理ははずれだ。それに、家に着いてからSNSに気づくのは頻繁にチェックしていないということ。機械にうといか、若くはない(老眼だからチェックが億劫だとか)ということを意味している。40歳だとして15を引くと25歳だから社会人になってから知り合ったのか。娘に連絡できない理由も気になる。晴れ男とか。謎が多過ぎる。※書き出しを一文字空けない。※文末に句読点がない。

「昨日見た夢」
 面白そうな題材ではあるが、面白みはない。パーカーに焦点を当てるか、クラスメイトに焦点を当てるかしてほしかった。夢(作者が実際にこの夢を見たかは不明ですが)って見た直後はすごく面白いものだと本人だけは思い込んでいるのですが、文字にしたり言葉にしたりすると、途端に陳腐になるものです。誤字。

「卓くんとの再会」
 パラレルワールドにいる死んでしまった神谷を助けた早川の行動とは何だったのかが気になる。自分と未来に帰ってほしいと言ったのは神谷だから、その後、ここでお別れだと言うのは理解に苦しむところ。謎が多過ぎる。読者の読み方が間違っているのか。

「なぜかフィレンチェ」
 相手と一緒にイタリアに行って、その後、結婚したのだろうと推察した。結婚したから日記は止めた。だとしたら相手は相席の男しかいない。ちょっと曖昧になっているところが良い。もしくは、まったくイタリア男は関係なくて、別の誰かと結婚して単に日記を読み返していただけか。

「私」
 自分にすがりつく少女の「自分」とは聞き手の側である。その後の「自分にすがって何が悪いの」の「自分」はどちらなのだろう。流れからすると、すがりつく自分とは少女自身になる。でも少女は少女自身にはすがっていなくて、聞き手にすがっているのである。謎が多過ぎる。いや、まて、私と少女は同一なのか。自身の内面への語りと読むと合点がいく。先の4行、なれなかったものはこれからでもやれることばかり。「お嫁さんになりたかった」からだけでも晩婚化から察するに40前後かそれ以降の年齢か。ただ、内容はもっと低年齢な幼稚さを感じる。※書き出しを一文字空けない。※文末に句読点がない。※無意味な改行。

「女の子は泣きながらドーナッツを食べる」
 言葉に出さない心情を「」書きにすることで相手に伝わらさせてしまうのは面白いと思った。最後の「了解」は客に対する態度ではない。その前の「踊りませんか?」で客と店員の関係は崩れたのか。「胸、おっきいですね」ではまだ、「9050円のお返しです」と店員の体を保っている。※書き出しを一文字空けない。

「いつも大変お世話になっております。」
 書き出しの「魂」とは何を意味しているのか? この時点ではまだニートなのだから「魂を売った仕事」はしていない。流れからすると「比喩ではない自身の魂」を売ったとも考えにくい。「世界で最後のニート」という職に就いていたということなのか? キーボードを打つ仕事の内容(電話の会話のようだが、キーボードをたたいていることから会話ではないようだ)が理解しにくいが、面白そうな気配はある。何千を4千として8時間労働だと1件に7.2秒しか使えない。初めての仕事にしてはスキルが高過ぎる。もしかすると最初の純白のブラウスと最後の花柄のブラウスはリンクしていて、最初の魂とは、送信ボタンを押す仕事のことであり、だから、この話はループしているのかも知れない。

「銀座・仁坐・陽座」
 紳士の話をしているのに紳士ではなく、一般的なビルオーナーの話をしているように読み取れる。今回は読んでいて引っかかるものが多かった。いつもと流れが違う読後感。変換ミス。※書き出しを一文字空けない。

「草を食べる社員たち」
 読み返しても内容がよく理解できない。意図的に文を複雑にしているのか。いるのだろう。何度か目を通すがとっかかりになるものが見つからない。不完全性はある。ある部分と部分を入れ替えると意味が通じる、というような読み方。作者の解釈を教えてほしい。もしくは解説をお願いしたい。

「主人公と仙人」
 第一印象はいい。最初の「右に行けば〜〜荒れ狂う吹き溜まり。」で作者は自身に酔っているようである。夢十夜。

「息子の背中」
「なんべん」ではなく「なるべく」または「なんべん、早く部屋を出ていって欲しいと思ったことか」では? 「勘違いの音」はどう読めばいいのか分からない。読者の知識不足か。小説は悲しいものだと誰か(たぶん保坂和志)が言っていた。普通に書いても悲しくなる。だから明るく書いてちょうど良いみたいなことを言っていた。今ある不幸を嘆く小説は読者にとって面白くない。※書き出しを一文字空けない。

「平日プラネタリウム」
 わくわくして、よしこれで、と書いたつもりが実は何も描かれていなかった。他作品と並べられたとき、埋没してしまう小説。あー、嫌悪感。

「机上の空談」
 男だったオチか。何となくどこかにある物語にも読める。ということは新鮮味がないということか。※書き出しを一文字空けない。※無意味な改行。

「街」
 トイレにひそむ相手の件がよく分からなかった。トイレにフタがあるということは洋式であるが、トイレのなかにひそんでいることから解釈すると和式汲取式の便所である。怖いならトイレのフタは閉めなければいい。きっと、街に対する恐怖とか、変化していくその先で次々と崩れさることを描きたかったのだろうけれど、何か消化不良のような。電車の女や、部屋の中の恐怖(単なる怪談)ではなくて「街」に関する恐怖(具体的に何がとは言えないが)が描かれているとタイトルとマッチしたと思う。惜しい。

「ホットパンツ」
 基本的に男女間の話は好きではないが、最近の作者の作品の中では一番好きである。次作で欲情に走り過ぎないかが心配ではあるが。男と女がいて、男がダメで女がしっかりしているパターンに陥っている。変な改行は何なんだ。※書き出しを一文字空けない。

「キリマンジャロの雪」
 「スクリャービン」は好みでなかったが、こちらの作品はいい感じである。ただ、4時間のマッサージはちと長過ぎないかと思う。おまけにその4分の3はサービスだなんて。4時間も悶々とするのは地獄である。「次の来月」とは変な言い回しである。足の裏に塩を塗ってヤギになめさせるという拷問がある。ヤギの下はザラザラしているからやがて足の裏の皮膚はけずれ、骨がむき出しになっても舐め続けられる。そんな感じだ。※書き出しを一文字空けない。

「眠れる森の美女」
 彼を4年前の夏に見て、もうすぐ中学生になるということは、最初に見たのは8歳ぐらいか。少女が大人になる瞬間、という古くさいフレーズですが、小学生っぽくないってのが素直な感想です。でも、考えてみるとこの歳の前後って案外大人びているのですよね。そして、その感覚は大人になってもあまり変わらないものですよね。でもなんか実感としてわかない。

「白」
 いいと思う。かみ合うか、かみ合わないかのぎりぎりの会話が好きである。「お正月・彼」の「・」がやたらと気になって。いい意味で。前作もそうだが、狂っている。だからいいのであるが、今回はパンチがなかった。パターンに陥っているような。「バス亭」→「バス停」

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