仮掲示板

やはり題名には気をつけなければ、Re:一日一感想 10

感想の分量ということをよく口にしておりますが、言葉の多さも力量だと思うのです。
何が言いたいのかと言うと、もう冒頭に言えることがないくらいの力量しか持たなくて、ということ。

〉10 月はただ静かに
〉この作品はどうも読んでて引っ掛かるなあと思ったので、朗読してみたらやはりあちこちの日本語に違和感があった。
〉「作品自体が違和感だらけでそれを狙っているのが演出」というのとは別として、この作品はなるべく緻密に見た情景を表現しようとしていると感じられたので、やはりつまらぬところで引っ掛かるのはもったいない。
そういうものは直したいです、是非とも。そう思うので、人様の作品にはたまに意見具申したりするのですが、その甲斐ありと言ったところ、でしょうか。

〉私なりにつっかえた所を変えてみた。
長月氏の修正箇所に鍵括弧をつけてみました。重要なことではないでしょうが、変更後の字数は910字です。そんなに字数が削られていたのか、と意外に思いました。

〉 ようやく「太陽が」西の地平に沈み、月が東の海上に姿を現した。日の高いうちは海水浴場であり、水着姿が思い思いにシートを広げていた砂浜は、今度は花火大会会場となり、浴衣姿がやはり思い思いにシートを「広げる」。「もはや残光は失せ、砂浜を彩っていた浴衣姿も色を失う。開始時刻が近づく。」目に映るものはまだ海面からそれほど離れていない高さに浮かぶ月と、「蛍のように砂浜のそこかしこへ散る、携帯電話の光ばかりとなった。」
〉 「喧騒の遠くから大会開始の放送が流れると、漁港の先端で打ち上げられた花火が、海上に大輪の花を咲かせた。」「いまや闇へと沈む浴衣姿に見せつけるかのようにだ。」「光と音が破裂の衝撃や火薬の匂いをまとう。」赤、青、黄、緑、桃色などのさまざまな色の光が、あるいはまっすぐ飛んで一瞬「に」消え、あるいは枝垂れ柳のように残り続けて海面に「落ちる」。中心点から球状あるいは放射状に大きく飛ぶ光、二段階の破裂によって随所から不規則な方向へ「飛び散る」光、あるいは「魚やクラゲを模した」光などが次々と「舞う」。「(また、を省略)」笛が仕込まれているものや第二段の破裂を細かくすることで爆竹のような音を「響かせる」ものもあり、光だけでなく発せられる音までもが観客を「喜ばす」。「(そしてを省略)」連続して放たれたそれらが織り成す総体「は」、夜空のキャンバスにひとつの作品を作り上げて「いく」。観客は一様に、月よりも高いところで作り出されたその芸術を、首を上げて「眺める。」あるいは「携帯電話」。
〉 やがてすべての花火が打ち上げられ、大会終了の放送が流れた。広い砂浜にはどの程度に観客が散らばっていたのか、拍手の音はまばら「であった」。しかしそこにはどれほどの観客が詰めかけていたのか、駐車場へ向かう浴衣姿の列はがやがやと賑やかで、長く混雑していた。当然に駐車場から出る自動車の列も、いつまでも進めずに列を成した。道路を彩った自動車のランプは花火よりも明るかったが、その不整然さは花火のようには美しくなかった。そのランプに映し出された浴衣姿の雑然とした列の方がまだ美しかったが、「それも」いつしか駐車場に吸い込まれて消えた。
〉 月はそれを、花火よりもまだ低い場所から眺めていた。もう誰も見上げることのない空を悠然と、花火よりもずっと高く上がろうとして「いる」。

過去形と現在形を変えたものも多いのですが、その使い分けについては私も良い方法を知らないため、何も申しません。
それよりも、第二段落の最初の部分、これがなかなかに面白い。
それで、いつもどこかしら「あまり良くない表現だけど投稿してしまえ」という部分がある黒田皐月なのですが、今回は実は「駐車場へ向かう浴衣姿の列はがやがやと賑やかで、長く混雑していた」だと思っていました。ここに触れなかったのは、作品を変えてしまうからとの遠慮があったからかもしれません。

〉個人的なことだけれど鎌倉の水中花火を思い出した。
〉なるほど、私も昼間は水着で場所をとり、レジャーシートははそのままにして、銭湯へ行ってまたその場所に戻った。夕飯はマックかコンビニと高をくくっていたら、なんと!コンビニ一軒丸ごと売り切れていた。(菓子類すら無い)すごい!マックなんていつになったら買えるやらの長い列。その日は夕飯にはありつけなかった悲しい思い出。
そろそろ言ってしまいましょう。2007年7月28日、やや曇り気味の満月の夜の、大洗海上花火大会。茨城県です。
夕方前に現地に着いてパンを少々食べて、夕食は帰宅後だった夜でした。
唐突なお礼になりますが、ご感想を、ありがとうございました。

この日が色褪せない思い出になることを砂に願う、黒田皐月でした。

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