第95期 #11

朝餉

手を合わせ醤油を引き寄せる。

俺は上機嫌で茶碗の角に卵をぶつけた。

湯気の立つ飯の上に落とされたのは…

形作られる前の雛。

膜の張った濁った目が俺を睨み、白米の上でゼリー状の体はほどけ、嘴が滑り落ちていった。



Copyright © 2010 鳴兜 柑子 / 編集: 短編