第75期 #15
波の音しか聞こえない……。
僕は無力だった。
何もできない。
理由なんて関係ない。
ただ、僕はその絶対的で圧倒的な現実に対して、そのすべてを 拒否したかった。
さて、どうする。
この先をどう書き進めていけばいいんだ。
僕には……わからない。
翌日。
僕は、いつものように悩んでいた。
その時――
脳裏で何かが弾けた。
これは……。
使えるかもしれない。
僕は、急いでパソコンの前に座ると、早速書き始めた。
できた。
僕は満足していた。
この作品に敵うものなど、ないと思った。
まさに、最高傑作。
僕は、そう思って疑わなかった。
完成してから、一週間たった。
読み返してみる。
駄作だった。
小説家の夢はあきらめた。
――漫画家になろう。