第69期 #4
昔々あるところに、いつも喧嘩ばかりしているウサギとカメがいました。
ある日、ウサギはカメに言いました。
「カメさん、俺達このままいがみあってても意味ないと思うんだ。だから今度勝負して長年の決着をつけようじゃないか」
「いいけど、どんな勝負ですか?」
すると、ウサギは離れた場所にある山を指差して言いました。
「あの山まで競争して、先に山頂に着いた方の勝ちっていうのはどうだ?」
自分の脚力に自信のあるウサギは、自分に有利な勝負を投げかけました。
「いいですよ、私がウサギさんに負けるはずないじゃないですか」
「フンっ、言ったな。じゃあ勝負は1週間後だ。」
そして1週間後、ウサギとカメの勝負は観衆に見守られながら始まりました。
「カメさん、本当にいいのかな?今なら取り消しても構わないよ」
ウサギがニヤニヤしながらカメに聞きます。
「ウサギさんこそ、後で撤回したりしないで下さいよ」
「二人とも、準備はいいかな?」
審判の猫が言います。
「「はい」」
ウサギとカメは声を揃えて言いました。
「では位置に着いて、ヨーイ・・・ドン!」
パン!!と始まりの合図の銃の音が響きました。
ウサギはスタートダッシュを決め、もう観衆の目にはいませんでした。
一方のカメはというと、のろのろと歩いて近くを歩いていたカタツムリに抜かれました。
これではカメの敗北は確実です。
しかし、カメは慌てる事なく一歩一歩地面を踏みしめて歩きました。
「ふぅ〜、楽勝だな」
途中の野道まで来たウサギが言います。
ふと、近くに給水所があるのが見えました。
かなり走って疲れたウサギは、その水を飲むことにしました。
その水は美味しく、ウサギの体力は回復しました。
「ぷはぁ〜、美味しい」
すると、辺りを見回して言いました。
「カメの奴、ノロマだから少し休憩しても大丈夫だろう」
ウサギはその場に横たわりました。
ウサギの目が覚めた頃には、もう夜でした。
「うわぁ〜、大変だ。カメはもう山頂にゴールしてるかもしれない」
ウサギは不安にかられ、一目散に山頂を目指しました。
山頂に着くと、案の定カメはゴールしていて、観衆の皆と祝杯をあげていました。
「く、くっそ〜」
ウサギが悔しさに地団駄を踏みます。
「ウサギさん、この勝負私の勝ちですね」
「俺の負けだ。カメさん、俺は君を見直したよ」
「そういって貰えると光栄ですね。ところでどうでしたか、私の作った強力催眠薬の味は」