第66期 #25
爆撃されるゲルニカのCG。
爆撃するセザンヌのCG。
モナリザのモデルが確定した、その日に。
「次のプロジェクトもこのような形で進めたいと思います」
(いやあ、やめてえ! 許してえ! 痛い!)
(銃弾はシルクハットの男の股間を容赦無く撃ち抜いていた。悲鳴をあげて膝を突くシルクハットの男)
(血飛沫)
(ここは俺に任せろ。なあにそう簡単に死ぬつもりは無いさ)
(血飛沫)
(おにいちゃん……)
(血飛沫)
「マーケティングに沿って需要を全て詰め込みました。勿論、既にメディア展開も考えてあります。何か意見のある方は?」
トゥエンティ・センチュリー・ガールズ・ストライプスのライブの音が遠くから聴こえる。
「晴れたる青空、漂う雲よ」
がらんどうの青い鳥。
フラー理論。
タイムマシン。
「またこんなの書かされるのか。うんざりだな」
企画書を読み男は呟く。
「ならお前は何が書きたいんだ? 失われた時を求めてか? 百年の孤独か? 田園に死すか?」
「さあな」
「全て需要は詰め込みました。既に外注のアニメ業者に委託の打診をしてあります」
股間を血糊で汚した男がシルクハット、タキシードの格好で舞台に立っていた。色とりどりのボールでジャグリングをしている。
観客からは万雷の拍手。
「何が書きたいんだ?」
「例えば」
ひまわり。燃え上がるひまわりを抱きしめる。燃え上がる少年。
ラプラスの悪魔。
ゴッホはその前に座り絵筆を取る。
「良い天気だね」
(虹)
爆撃機に乗った少女達は虹を目指して飛ぶ。
「痛いなあ脚どけてよ!」
「この腕邪魔よ! 操作出来ない!」
「ねえトイレは?」
「もうこのドレス飽きちゃった!」
虹へ。
爆撃機の中で響き続ける軽快なコンピュータ音楽。少女の一人はハッチを開きパンツを脱いで地上へと放尿をする。The rine in Spine stais minely in the pline。スペイン荒野にただ雨は降り注ぐ。
かたかたかたかた。映写機が回る。少女達の乗る爆撃機がシルクスクリーンに映し出されていた。万雷の拍手。スペイン荒野にただ雨が。
ゴーギャンは荒野を歩き続ける。沢山の裸の女の子を引き連れて、沢山の絵の具を抱えて、アルルへ向かって歩いている。
ゴーギャンはゴッホの右耳を拾う。
「これが六億ポリゴンで再現した、ゴッホの右耳です」
巨大スクリーンに映し出されたゴッホの右耳に人々は立ち上がり、万雷の拍手を送る。