第54期 #21

逝く理由〜自殺〜

僕は自殺した。

まさか、自分が自殺するとは思わなかった。
時々、テレビのニュースで中学生や高校生がイジメや将来の不安とかで自殺してしまうニュースを見ていた。僕はそれを見て。

「くだらない。弱虫だなぁ。」

と思っていた。

思うだけだと思った。

だけど、進学してからだった。親の転勤で引越しをした。まったく知らない町。まったく知らない場所にきた。誰も知らない町の誰も知らない学校。行く前、差ほど気にはしなかった。しかし、それは甘かった。

「どうせ、すぐに友達が出来るだろう」

本当に甘かった。

最初の数日はちらほらと話した。一ヶ月経つと、僕に話しかける人は居なくなった。勇気を持とうとクラスの人に話しかけた。だけど、話は続かず、彼は言った。

「つまんない。っていうかお前いたっけ?」

名前も覚えられてなかった。

休み時間が辛かった。昼休みは得に辛く、図書室で本ばかりを読んでいた。
家では親の前で気丈に振舞ったが、部屋では素の自分になっていた。
引き出しのカッターを自然と手に取った。

切った。
切った。
切った。
血が流れ、心が落ちついた。


半年経つと、何も感じなくなった。
自然と窓辺や屋上と高いところへ足が動いた。
本にも書いてあった。「辛くなったら逃げても良い」と、

授業中、僕は突然立ち上がり教室の窓へ歩み寄った。先生やクラスメートが何か言っているが何も聞こえない。

落ちた。

3階から真っ逆さまに、痛みは無かった。自分を上から見たが、特に怪我はしていなかった。頭の打ち所が悪かったのか、死んだ。叫び声や塞ぎ込む人がいたが、僕には関係ない。自由と思った時、突然体が空へ引っ張られた。意識が無くなった。


僕は今、地獄にいるらしい。鬼にも遭った。本当に角と虎柄のパンツを履いて、
どうやら僕は殺人の罪らしい。よく分からない。考えることが出来ないのだ、唯只管、労働作業をしている。僕と同じ年位の人から僕のお婆ちゃんより年が上の人もいた。

後悔はした。
もう少し頑張ればと思った。
唯、母さんのカレーがもう一度食べたいと思った。
涙が零れた。でも拭うことは出来ない。それが何なのか忘れてしまったから、





「これから引越しだ、知らない町だな。まぁ、どうせすぐ友達も出来るだろうし、一人のほうが楽だろう。とりあえず、少し寝るか。ファ〜ァ・・・・。zzz」


孤独は人を殺す。死はアナタの背中に常にある。消して離れぬ影のように・・・・。



Copyright © 2007 T,J / 編集: 短編