第52期 #19

花房さん

君達!21世紀は精神の時代だ!感を全身で顕したい。だから、できれば打ちっぱなしのコンクリートにプシュッとスプレーをふって、なおかつそれを数年ほど雨風にさらして色あせた感の出たいい塩梅の赤いTシャツを新品で探しているのだが、ショップで働く自称ファッションリーダーの店員達でさえも首をかしげる有様だ。ならばシンプルに深煙色で妥協すると言ってみたものの、マジ勘弁してくださいフェイスで見つめられながらも店を去る。合掌。

要はこだわりだ。と下請けの花房さんが言っていた。
キャフェでショット追加のアメリキャーンを苦苦しくもクールに流し込む様は、ハリウッドというよりは、北欧の社会派ドラマの主役の友人を彷彿とさせる。アシッド系の二流DJだ。という感じで、脳内でいくらこだわったところで、街行くヤンガー・ピーポーには伝わりきらない。
こだわりの真髄はファッションだ。バイ・花房。

音で例えるのは簡単だ。StereoLab的なサウンドを2分程垂れ流して、ブレイクのギターノイズをうまいことループさせて、いきなりドラムンベースに展開するという、小悪魔的なミックスだ。セックスにも応用できるはずだ。Mix by DJ Hana-busa aka Like a Dick

どんなときも霊感が強いということにしとけば、あまり煙たがられないで済むのだ。それがこだわりだ。と、花房さんが言っていたが、あの人、休みの日も作業着だったよ、そういえば。裏アングラっちゃってるよ、チェルノブイリった感じだよ、花房。

やっぱ女子目線でナチュラルにしとこう。女子目線で。Kawaii系のニット帽ゲット。



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