第271期 #2

告白代行サービス

「はい、こちら、告白代行サービスセンターです」
唐田はネット広告を見て、「告白代行サービス」というものを試してみることにした。
「お客様には、告白したいお相手の連絡先をご提供いただきます。我々が代わりに告白を行うという仕組みです。スタッフは全員、告白の達人ですので、成功率を大幅にアップさせることが可能です。ただし、あくまで“脈あり”の相手に限ります。まったく接点のない方への告白はお引き受けできません。そして――」
スタッフは続けた。
「複数人の脈あり相手を一括で提出することも可能です。候補が多ければ成功率も上がるので、おすすめですよ。万が一、複数の方と同時に成功してしまった場合は、こちらで適切に処理いたしますのでご安心ください。お客様のLINE、Facebook、XなどのSNSアカウントを一時的に委託していただくだけで、あとはすべて我々が代行いたします」
唐田はすんなり契約した。実は、気になる相手が二人、そして「当たればラッキー」くらいの相手が一人いるのだ。
「承りました。結果が出次第、ご連絡差し上げます」
スタッフはそう言って手続きを完了させた。

一週間後、告白代行サービスから連絡があった。
「唐田さん、おめでとうございます!無事に告白が成功し、Bさんとお付き合いすることになりました。第一希望だったAさんは残念ながら実らず、チャレンジ枠のCさんも今回は見送りとなりました。ただし――」
「ただし?」
「はい。ただし、計画外のXさんから、告白されました。Xさんはかなり条件の良い方でして、現在こちらで保留とさせていただいております。唐田さんのご判断で、Bさんとの交際を続けるか、Xさんを受け入れるかを決めていただければと思います。そして、もう一つ、実は――」
「実は?」
「はい、実は……Xさんも告白代行サービスを利用されていることが確認されています。そして、Xさんも複数の相手に告白しているようです」
「えっ……」唐田は少し驚いた。「そっか、やっぱりみんな使ってるんだな。で、私って、Xさんの第何順位なんですか?」
「それは……有料オプションでのご案内となります。VIPプランにご加入いただければ、ビッグデータを活用して最も“コスパよく”告白できる仕組みをご利用いただけます。いかがでしょう? 今、皆さん、利用されていますよ」



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