第264期 #1

ループ

「別れよう」
唐突に言われたその五文字は私の全身を巡る。意味がわからなかった。それまで私達は普通に会話をしていたはずだったのに。過去と同じように私が薬の過剰摂取をして、彼女がいつも通りやった理由を聞いてきて、私が理由を言って、そうなるはずだった。のに、どうして。私が答える暇もなく次々とメッセージが送られてくる。
「もう耐えられない」
私の心はもう限界だった。喉はツンと締め付けられるし、胸は苦しい。涙でメッセージは滲んで見えた。
「わかった。」
そう答えるので精一杯だった。
「ありがとう。ブロックするね。」
私達の関係は終わった。『好きだった』なんてありきたりな事は言われなかった。君はそんな人だった。嗚呼、そんな人だったよ、君は。
君は優しくて、時に人を傷つけるほど優しくて、私はその残酷な優しさが好きで、私のことだけは傷つけない優しさが好きで、でも最後は。ねえ、君はそんなふうに人を傷つけるんだね。今まで我慢してたのかな。ごめんね。ごめんなさい。もう届かないのに、送っていた。
数日たった。君と別れてから数日経ってしまった。あの日はご飯が喉を通らなかった。一食も食べなかった。数日経って、ご飯は食べれるようになった。でも、それだけ。中身は何も変わっちゃいない。別れてたった数日で恋人ができても、中身は何も変わってない。今でも、元カノのことが忘れられないし好きだ。それでも、いいのかもと思えた。
だって、私には優しい君がいるから



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