第248期 #1

コンビニの女の子

コンビニのあのバイトの女の子が気になっていた。
このアパートに引っ越しして一年、アパートの下にコンビニがあり、ほぼ毎日通っている。
そのコンビニにバイトの女の子がいる。ほぼ毎日いるので、ひょっとしたら正社員かもしれない。コロナのご時世で、店員はみんなマスクをしている。その女の子も当然、勤務中はマスク着用。
かわいい女の子だ。コンビニに行くたびに気になっている。その雰囲気と仕草は100%タイプの女の子。しかし顔は一度も見たことがなかった。
そのまま1年間経った。職場には友達がいない。毎日コンビニに寄るのが一番の幸せだった。別に顔を知らなくても良いと思った。アイドルだって素顔を知ったら何も得しないだろう。
転勤が決まり、引越しすることになった。これからもうバイトの女の子と会えないかもしれない。せめて最後の1週間は今までのまま過ごそうと思った。コンビニに向かう。店の前に、店員の制服姿の人が数人いた。打ち合わせかな、と思ったら、マスクをしていないかわいい女の子がいた。3秒止まっていたら、まさにバイトの女の子だったことを認識した。そしてその女の子は、タバコを吸っている。
気まずい空気だったが、とりあえず水を買って帰った。
俺はタバコを吸わないが、タバコを吸う人に偏見を持っていないはずだ。でもなんかモヤモヤした気持ちになった。
最後の1週間は、ちょっと遠いコンビニに通い、さっさと引越しを済ませた。



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