第234期 #1

冬のポイントカード

日本に来て3年目、私は葛飾区のボロいアパートに住んでいた。 アパートの近くにスーパーがあり、毎日買い出しに行っている。 料理をしたくないときもあったので、夕食用に調理済みの食品を買いに行く。

スーパーのレジに20歳くらいに見える若い女の子のバイトさんがいて、会計するときよく彼女に会う。 実は一方的に好意を持って、彼女が本当にかわいくて、毎日見ているだけで幸せな気持ちになれたのだ。 でも、買い物かごを渡すたびに、「ポイントカードはお持ちですか?」と聞かれる。

ポイントカードなどは大嫌いで、資本主義の陰謀だといつも思っている。 だから、いつも作るのを断っていたのだ。 しかし、スーパーのスタッフ教育では、バイト全員がお客様にポイントカードの有無を聞くことがルールになっているようだ。

毎回、「ポイントカードはお持ちですか?」と言われるのだ。 「結構です」と。そして、彼女との会話はこれで終了した。 一度だけ、「ポイ…」と聞いてきた瞬間、私は「ない」と答えた。私は、彼女の悲しい心が見えるかのように感じた。

そこで、カードを作る計画を立てた。この日、私は彼女がレジにいるのを見つけ、歩み寄った。 「ポイントカードはお持ちですか?」 「いや、でも入会したいです」

若い女の子はとても喜んで、引き出しからポイントカードと申込書を取り出して、私が記入し、登録するのを手伝ってくれた。 私は、「大学生のアルバイトですか」と聞いたら、「そうです」と。 帰る前に、今日の商品はすでにポイントがついたこと、今後カードで買い物をするとすべてポイントがつくこと、毎週水曜日は割引になることを教えてくれた。

翌日、再びスーパーマーケットへ。 ポイントカードと小銭でいっぱいの財布を握り、彼女がいるレジを探す。やっと運が向いてきたのか、頭の中では3つの話のネタを用意し、冬なのに心の中は春なのだ。 やっと自分の番になったので、買い物かごをレジに置いて、「こんにちは、また来ました」と言った。 若い女の子は私を見て、上手にかごを取り、笑顔で 「ポイントカードありますか?」と言ってきた。



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