第23期 #1
手を振ったらお星様が答えて、安心したやらとうとう着いてしまったという想いやらで涙ばかりしていた。境には自分の心臓が見送りに来ていて、どうやら一緒には行かないらしい。初めて面と向かって話すのに、愚痴ばかり聞かされた。何もかももうお別れなのに見送りはそれだけで、絶対に会いたい誰かがいたような気がするけれど、妙に急かされて先を急いでしまった。 幾人かの顔が並んでいた。手術は成功ですと聞こえて、私は胸の辺りを擦りながら、兄の心臓の鼓動を聞いた。