第220期 #1

哲学的少女

世界というモノは残酷で、人間というヒトは協調性の欠片も無い醜い感情の集合体だ。モノがヒトを操りこの世は造られていく。誰かを必要とし、何かを必要として、この世は上手く循環されていく。誰かに見捨てられても私たちは逃げることを許されないのだ。逃げ道などこの世にはない。平然と明日がやってきては、苦しめられ、そうして生きていくように、私たちは決められた毎日を過ごしていくのだ。自由という言葉こそ、自由ではない。自由という言葉こそ、自由になりたいと願望を抱く人間が口にする言葉なのだ。もし、何かが私たちに試練を与えたとして。それを乗り越える事が出来たなら、報酬に自由をいただけるとしたら。その場で、私たちは何らかの痛みに耐えながらも自由を願うだろうか。自由のために痛みを我慢するなんて、自由になれた気がこれっぽっちもしない。こんな卑屈な事ばかり考えている私もヒトだ。醜い感情の集合体なのだ。
幸せという基本の価値は、時に不公平である。人間一人に一つの幸せの価値があるとして、それは平等であると、誰かが決めたのだろうか。いっそ誰かが決めていてほしかった。それならば、こうして卑屈な人間にはなってなかったし、醜いヒトであっても喜ばしいことだった。例えば、私には愛が無く、街ですれ違ったただの第三者には愛がある。そんな不平等こそに妬みという感情が生まれ、また一つ、この世界が歪んでしまい残酷さを物語るのだ。
…こんなことを考えながら流行りのフラペチーノを飲む。やっぱりここのフラペチーノは甘くて美味しい。机には、何も進んでいないレポート課題が寂しそうにしていた。そんな私は、雰囲気の良い駅前のカフェの、窓側のカウンターで一人、フラペチーノを片手に頬杖をついて、今日もボーッと過ごしているのだった。



Copyright © 2021 山下凪紗 / 編集: 短編