第213期 #1

生きる理由

僕はネガティヴ思考である

彼女と知り合い、1年が過ぎた頃だった

僕はいつものようにメッセージを送った
「僕と話しても楽しくないよ」と

僕は君に「楽しいよ」の一言を言って欲しかった

君は「大丈夫」の一言だけだった

そして僕は君に送った「会いたい」と

「私も」と言って欲しかった

君は「ありがとう」と言った

僕は「好きだよ」と言おうとした
もう返ってくる言葉はわかりきっていた
だから言わなかった

ただ僕は生きるための理由が訊きたかっただけなのに

いつのまにか死ぬための理由を聞くことになっていた

僕は泣いた



Copyright © 2020 Earzu / 編集: 短編