第163期 #1
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ。」
乱れる吐息。
辛い。苦しい。怖い・・・・
「助けて!」
その声は消えて行く
異変に気付いた、男の人が私に声をかけた。
「!・・・落ち着いて、ゆっくり息を吸え。大丈夫だ。大丈夫。」
私は、言われた通りに、ゆっくり息を吸った。
そして、心の中でその男の人が言った、大丈夫っと、言う言葉を何度も繰り返した。
「・・・落ち着いたか?」
その男の人は、素っ気なく、言った。
私は、静かに頷いた。
「そうか。また、辛くなったら、言え。」
その男の人は、そう言うと、どっかに行ってしまった。
・・・彼は誰だったのだろう?