第156期 #5

3つの別れ

「ああああああ!」
計は目覚まし時計を壁に叩きつけながら絶叫した。時計の針は14時を指していて、多恵との待ち合わせ時刻を3時間も過ぎている。
「と、とりあえず電話を」
計は急いで携帯を操作する。
「・・!もしもし、たえちゃん!?」
「・・別れましょう」
彼女はそういって電話を切った。
「・・・・うわああああああああ!」

「Ahhhhhhh!」
Bob exclaimed while flinging an alarm clock against the wall.The clock pointed at 14:00, and three hours were delayed from the wait time with Samantha, too.
「What can you do...iPhone」
Bob picked up a mobile phone and pushed the touch panel like a brick.
"Hello, it is Samantha"! ?
"..., Bob will part"
She just said good-bye and hung up the phone.
「OーM−G!!!」

「あやや、寝坊しき」
婆は庭の鶏がすっかり走り回りたるを見て目が覚めき。今日は爺との約束がありしを思ひ出し、急ぎて仕度す。
「猛助、爺さんはいづこにゐるにはべるや?」
婆は横で囲炉裏を掃除したる若者に話しかけき。
「もう今日は山へ芝刈りに行ひきよ」若者はそう言ふ。
「あの人は本当にせっかち者なり。いとをかし。」
すと戸が開き爺が家に入りてきたり。
「婆さん、わしと別れむ」
そういふと爺は綺麗なる服を着た若き女子と山へ消えていきき。
「え、いかでに、待ちたまへ」
婆の悲痛なる叫びが山中に響きき。



Copyright © 2015 桜 眞也 / 編集: 短編