第142期 #2
ある町にある昔からあると言われている地蔵。
名は「世型地蔵」
ある武士は「どんな人でも一撃で倒せる刀をくれ」と願った。
翌日武士が起きると側に一本の刀があった。
しかしその刀の重さは約一トン。
地蔵はどんな人でも一撃で倒せるが扱えない刀を武士に与えたのだった。
ある受験生は「合格祈願」をした。
受験生は見事受かった。
すべり止めの私立に。
そんな感じで余計な物までもたらす為
いつしか地蔵は 漢字を変えられて
こう呼ばれている。
「余計地蔵」と。
佐藤という男はある日余計地蔵に願った。
「バレンタインデーにダンボール五個くらいのチョコをください、もちろん可愛い同年代の女の子から本命で、俺の周りを愛でいっぱいにしてくれ!」
余計地蔵の噂を聞いていたので念入りに細かく願った。
翌日バレンタインデー。
佐藤はインターフォンの音で目が覚めた。
「きたぁぁぁぁぁ!!」
勢いよく扉を開けると配達員が重そうにダンボールを五個もっている。
「お届け物です」
「着払いじゃないですよね」
配達員は怪訝な顔をしながら首を横に振った。
「ありがとうございましたー」
配達員が帰った瞬間に佐藤は部屋いっぱいのダンボールを開け始めた。
「この箱は愛佳ちゃんからかー、こっちはー」
天井は三つ目のダンボールで違和感に気づいた。
「まさか!?」
急いで配達員から貰った紙を見た。
そこに書かれていたのは。
[差出人 愛佳]
ただ、それだけだった。