第137期 #18

俳修行

団栗は芽を出し庭の一隅に
自転車の行ったり来たり芽はやられ
物置に変えられる温室怒りの手
「ものの芽、名草の芽、芽柳など、「芽」だけでは季語になりませんね。無季の句のつもりでしょうか」
ケンシロウは退屈だった。くだらねえ、こんなの小説では無い。ケンシロウは私だったらこう言う小説を書くのにと言う欲望があった。
「ケンシロウ句会」
ケンシロウ「句会を始めます」

秋の蚊の痒さに耐えず徹夜する
ケンシロウ「季語は「秋の蚊」。他に「別れ蚊」、「残る蚊」、「後れ蚊」、「蚊の名残」とも言います。例句は、
残る蚊や敲きはづして待つ心 許六 「五老文集」
秋の蚊のよろよろと来て人を刺す 正岡子規 「子規句集」
秋の蚊の鳴かずなりたる書斎かな 夏目漱石 「漱石全集」
秋の蚊のほのかに見えてなきにけり 日野草城 「花氷」
秋の蚊の一つひそめる机かな 長谷川櫂 「虚空」です」

冴ゆる日にみこの二人に仕切りあり
ケンシロウ「季語は「冴ゆ」ですね。 「冴る夜/冴る月/冴える星/冴る風/声冴る/影冴ゆ」とも言いますよ。例句は
物音やさゆる柏の掌  才麿 「佐郎山」
冴ゆる夜のともし火すこし眉の剣 園女 「菊の塵」
風さえて今朝よりも又山近し 暁台 「暁台句集」
灯の冴ゆる机の上の夜半かな  坂本四方太 「春夏秋冬」
風冴えて魚の腹さく女の手  石橋秀野 「桜濃く」
さえざえと夜の声を出す女面 長谷川櫂 「古志」です。」

ケンシロウ「今日の句会は大変有意義な時間だったと思います。今後とも頑張って行きましょう」
ケンシロウ句会は終わった。



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