第133期 #4
およそ、近年に置いて最高発明は家庭内アンドロイドの出現だろう。
何しろ、およそ家庭内で人が行動するあらゆる作業をこなし、その知識はインタ-ネットを通じて無限の教養を誇り、またその器用さは人の及ぶ処では無かった。
そして、その姿は年々改良され、今では本物の人間と区別がつかない様になっている。只、声だけは合成音声であり、その点だけは改良が許されていなかった。
だが闇社会ではより人に近い音声に変えるプログラムが取引されており人気の声のプログラムは高値で取引されていた。
そして裏社会ではこれらを、性産業様に改造していたのだ。
いわゆる、セックスアンドロイドである。
政府はこれを取り締まる為にアンドロイドGメンが組織された。
宏はこの組織のメンバーの募集に応募したのだった。
彼は元々アンドロイドの技師だったが、その仕事に疑問を持ったのだ。
彼にとってこれは天職だった。
いわゆる「蛇の道は蛇」と言う事で、次々と業績をあげて行った。
その結果、社会からセックスアンドロイドは一掃されたのだった。
宏の忙しかった仕事もやっと一息だ。
「ただいま、今帰ったよ」
「おかえりなさい!ご飯にしますか?お風呂にしますか?」
愛妻が聴いてくれる。
「風呂にする」
そう言うと風呂の温度を調整し着替えも用意してくれる。
「一緒に入ろう」と愛妻を誘うと
「はい」と短く言って浴槽に入って来る。
「防水は大丈夫だろうな?」
そう訊くと愛妻は
「大丈夫です。パッキンは新品ですから。自己管理プログラムは正常に動作しています」
「そうか、なら安心だ。さあおいで」
宏はそう言うと見事な肢体の愛妻を抱いたのだった。
「愚かな人間どもよ。こうして己のみの楽しみのみにして於けば良いものを……そして、セックスアンドロイドを駆除しても人口減少問題は解決しない……」
宏はそうつぶやきながら、己の楽しみに没頭する。
「ご主人様、今日はお仕事大変でしたか?」
「ああ、大変だったけど、お前とこうして楽しんでいると、全て忘れてしまうよ」
「それは嬉しいです」
そう言ってアンドロイドは唇を重ねてきたのだった……
「うん、どうした?」
「はい、最近は自分がアンドロイドだと知らない者もいるみたいですね」
「ああ、改造業者も技術が上がって来ているからな」
そう言いながらも宏は「自分も明日パッキンを替えよう」と思うのだった……