第103期 #4
あたしの名前は、桑原 佑実(くわはら ゆうみ)
脳内27時間ハッピーなオンナノコ。
今日あたしは、近所の大きな公園に足を伸ばしているわけさ。
木々のせせらぎがこんな鬱陶しいものだなんて
今日に至るまで知らなかった自分を
こんなに悔やんだ日はなかったよ。
あたしは春の甘ったるい吐息を一身に受けながら
その嫌悪感を洗い流そうと、売店に隣接した自販機で
つめたいお茶を買った。
今にも朽ち果てそうなベンチに腰掛け
簡単に喉を潤した。
(今なら繋がるかな・・?)
携帯の発信履歴が全て
【白川 翔士】で埋まっていることを確認して
発信のボタンを指で覆ったが
木漏れ日が画面を照らしたので
なんとなくやめた。
なんとなくだけど。
緑っぽくなる視界を
あたしはそっと瞼でふさいだ。
「あたしがロサンゼルスに住んでたらなぁ。」
とかほんとあたし超coolな独り言ゆーてる。
「かなえてあげよーか?」
え・・?ちょ違う違う!
意地悪な神様だなぁもうっ!
「じゃあおねぇちゃんのねがいってなぁに?」
んー、翔士に会いたい・・かなぁ?どう?コレいい線いってない?
神様は口角を綺麗に弧の字に変え
生暖かい大気に融けて消えた。