第93期予選時の、#3『天井裏の散歩者』(石川楡井)への投票です(1票)。
最後の段落が少しパンチ不足というのも分かる気がしたが、僕はこのくらいが一番よいと思った。怖さがいらないというわけではなくて、この程度の描写が、この1000文字においては、もっとも効果的な恐怖を醸し出している。途中まで読んで、この老婆が……と思うと、どことなく嫌な気分を味わったが、ちょうどよい落とし所が用意されていて、ほう、これは、と思った。
言葉ひとつとっても、「面白い小説の書き方」というのを主観(個性)と客観の両方のバランスにおいてきちんと掌握している印象を受けた。
あと、流し読みをしてるとうっかり忘れそうになるが、最初の二行の蟷螂の描写が良い。
参照用リンク: #date20100617-221332