第9期予選時の、#3湯の怪(みかりん)への投票です(5票)。
何となく懐かしい感じがする。私の育つ頃は内風呂のある家にしか住んだ事がなく、銭湯に行った経験は皆無なのだが。
怪異の存在を自覚しつつそれと共存してしまっている湯屋の主人が、いかにも妖怪話のような雰囲気である。「顔なじみはまずいな」って、一見だったら良いのかよオイ、という突っこみもあり得るのだが、しかし彼は決して投げやりでも虚無的でもなく、「丁寧に湯船を洗う」所で人間味が感じられて救われた。妖怪ならぬ人間は、自分に出来る事を誠実にやって行くよりないのです。(海坂)
参照用リンク: #date20030502-215106
さまざまな楽しみ方のできる『園芸論』とどちらにするか悩んだが、一本の流れとして楽しめるこの作品を選択した。
現代の銭湯にも首をかしげる忘れ物がありそうだが、この時代のように、ある種”風流な物の怪話し”として楽しめるほど人の心にゆとりはない。
不気味さと共に、少し昔のよさを感じさせてもらった。(山)
参照用リンク: #date20030501-224736
始まりと終わりが呼応している、基本に忠実な1000字の「おはなし」だと思う。自戒も含めて、アマチュアは独り善がりの作品を書きがちであるが、他人に読ませる/聞かせるという配慮がきちんと行き届いていると感じた。ちょっとあっさりしすぎているところが、こういうコンテストでは損なのかもしれない。しかしその味わいこそが評価されるべき作品と思った。(あ)的予選二位通過。
参照用リンク: #date20030501-022006