第75期予選時の、#16世界の死(euReka)への投票です(3票)。
拝読させていただきました。
分類するなら、ファンタジーに属するのでしょうか。
私はファンタジーが苦手でした。普段から読まないよう心がけてきましたし、できれば避けて通りたい分野でした。
なぜかというと、作者の脳内イメージが文章で伝わりきらないからなのです。例えば、魔王降臨と一口に言ったとします。しかし受け取る側しだいで千差万別の情景が思い浮かべられてしまいます。それこそが小説の醍醐味ではありますが、反面そんな些細な具現化のすれ違いから最終的には何メートルも隔たった結果に辿り着いたりします。小説を精読するとは、出来得るかぎり作者の目線に近づいてゆく作業で、それこそが作品を味わい尽くすことだと信じています。ときとして作者の意図としない味に出会うこともあり、感想を聞かされた作者がいちばんびっくりしたり。それも楽しみの一つかもしれません。ファンタジーについての前置きが脱線してしまいましたが、このジャンルへの苦手意識を過去形にしてくれたといいたかったのです。ファンタジーだって書き方しだいでリアリストを納得させることができるんだなって教えられました。なにか無性にファンタジーが書きたくなりました。創作モチベーションを強く刺激されました。
長さ的には、短編以上のものを切り取り、または間を端折った感じを受けました。それにもかかわらず違和感がないのは構成の妙だと感心しました。挿入されているたとえ話も、ピッタリはまるジグソーパズルの如くしっとりと着地して、雰囲気作りに一役買ってくれています。
参照用リンク: #date20081230-224746
情景が心に迫ってくる。表現が上手いのか、イメージが自然と浮かんでくるのに感心した。文章も読みやすい。夢を見る機械、森の奥のリス、世界の死、などの一つ一つの小道具の扱い方もよかった。
参照用リンク: #date20081220-221920