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第68期予選時の「なし」票です(1票)。

2008年5月31日 23時53分27秒

みんなでファミレスへ行く流れとなり、それは腹が減ったと訴える方々主導であるけれども、まあ私なんかはそうそう腹が減ったりはしない方なので、単におしゃべりを続けたいからついて行くというだけなんだけれども、客に飲み食いさせて金をとりそのお金をいろいろとやりくりすることによって長年その場所で営業を続けているファミレスであるからして、客という名目で入店した以上は何かを注文しないとやっぱりばつが悪い。じゃあドリンクバーで。え? それだけ? みたいなみんなの視線を考えるととてもとても気が重くなり、じゃあ、えっと、えー……あ、ミラノ風ドリアで、あ、はい、あはい、以上で。ということに気がつくとなっている。ミラノ風ドリアってなんだよ。と、かわいらしい中国人ウエイトレスを愛想笑いでもって見送った直後に、自然な流れで自分に対して悪態をつくことになるのだ。なんかもっとしっくりくるメニューがあっただろ、おら。毎回毎回こんなことをしてるな、と毎回毎回思ってるな、と毎回毎回思うのだ。毎回。深く傷ついたことや、とても恥ずかしい思いは、部屋の壁が凹むほど頭を打ちつけたって(まあそんなことするのはちょっとあぶない人だけで私は実際にやったことはないが)ぜんぜん忘れやがらないのだけれど、こういうなんか中途半端にいらっとくる出来事は、たいてい帰りの電車に乗る頃にはすっかり忘れている。明日はまた早起きか、眠いなぁ、とか、そんな詮ないことをくよくよ考えながら、現実逃避にまっ赤な表紙の谷崎潤一郎が書いたことになっている小説を、片方の手では吊革につかまりながら目的地まで読み耽る……ほうら! もう忘れてる! ……ま、いいんだけどね。谷崎の小説おもしろいから。あ! ……で、何が言いたいのかというと、「なし」、という、自分の正直な気持ちをそのまま伝えられる選択肢があるってことは、勤め先に素敵な異性が現れることくらい素敵なことなんぞ、ということで、次回からはミラノ風ドリアだけは回避するぞ、と思ったけれど、まあこれもきっと忘れる。谷崎の小説を読んだらすぐに。ま、もうなんでもいいです。

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