第51期予選時の、#19生活問題(qbc)への投票です(7票)。
この方としては珍しく、てらいなくシンプルな作品で面白かった。今期はなんだかべたべたした作品が多かった中、すっと引いた感じがほどよかった。
参照用リンク: #date20061107-225323
qbcさんは、これは言い過ぎですが嘘の上手い人という印象で、本心が見えて来ない事への不安な気持ちでその作品を読む事が多いのですが、この『生活問題』は本心が見えたような気がして安心して読み終えました。
足の出たダンボール箱が走り回るという画がものすごく面白い。(三浦)
参照用リンク: #date20061102-010243
「女」が「手話」で最後に何を伝えたのか気になるが、そこは関係ないのだろう。
就職すること、「生活」に惑う主人公は、「声の標」を欲している。極めて明瞭な指示と、それに対する自らの従順さである。が、それが「手話」という、コミュニケーションの手段として確立してはいても、共有するためには“その手法を学ぶ”という障害がある形として現われるということは、主人公がただ現状に流されているだけで、聴くための耳を持たなくなっているということによって生じる困難さ、を表わしているのだろうか。単なる惰性と、指示を理解し行動に移す従順さとは天地の差がある。
そして「園児」は全くの従順さの現われである。彼らにははっきり聴き取れる「声の標」がある限り、闇の中も怖がらない。
あと、「女」との仲は進展しないような気がする。「連絡先」も「女」から教えてくれたに過ぎないだろうから。
参照用リンク: #date20061026-234615
「箱男」ならぬあくまでポジティブな箱小僧らのザジの如く戯れる姿とかつての旧友の手話での別れとただそこにある主人公の構図の何とも言えない噛み合わなさというかおかしみがジョン・アーヴィングの作品みたく(映画でしか見たことないくせに、フン)メタフォリカルな感じで全作品を読んだ後で一番画がぱっと浮かんできて断然好きなのがこの作品です。すぐ側にしがみ付いて離れない主人公の不安感のゆらぎに共感を覚えます。
参照用リンク: #date20061026-211827