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この作者には珍しく(と言っていいものかどうか)明るい読後感を与える作品だったと思う。
基督がこういう、物にこだわらない森の精霊みたいなすがやかな存在であったら、現在の世界ももう少し平和だったかしらんという気がする。日本的な基督像の試みと言えるのではないか。
参照用リンク: #date20030102-123635
構成の仕方が優れている。「僕」が残る世界と、「白い人」が人々を
誘う世界との二重構造があり、そしてどちらが「楽園」かという辛辣
な対比がある。二重構造の世界は完全にふたつに分かたれているわけ
ではなく、現に「白い人」はふたつの世界の間に存在している。そこ
に、世界の境界を越える神性を伺わせる。会話文を主としてこの世界
の分立を自然に表現した。やや道徳臭い部分は話の性質上やむをえず
あるが、それを反転させて描いたことが結果的には功を奏した。
何を書いたか、という以上に、何を書かなかったか、という所に含意
がある。それも功を奏した点である。
参照用リンク: #date20021228-004423
外部からの接触がまったく無い平和と豊穣に包まれた世界で過ごせることは、幸せに違いない。しかし、その世界と「白い人」の話す楽園の違いはなんだろうか。まったく同じものに感じる。主人公は『白い人はまだ戻らない。』と言っている。同じ場所なのだと思うと、その歪みで楽しくなってきた。
参照用リンク: #date20021226-215757