第212期予選時の、#5ストライク! ストライク!! ストライク!!!(テックスロー)への投票です(3票)。
大傑作だと思います。ひとつひとつのカットはほぼ名詞が並ぶ静止画。けれども、
カメラが寄ったり引いたりしながら細かく動くにつれ、そのひとつひとつのコマが、
躍動感をもってつながり、緊張感を維持しつつ爆発的な終幕につながる。唸りました。
参照用リンク: #date20200531-133828
野球経験者としてはピッチャーがサウスポーでない点が最後まで気にかかった。本作の設定を活かすならサウスポーの方が違和感は少なかったかなと思う。まあそれはそれとして、本作で描かれる世界はとても美しい。ピッチャーとランナーとバッター、三者三様の生き様が見事に描かれている。ピッチャーは2ストライクになったことでセットポジションをやめ、ワインドアップを選択する。ワインドアップは隙の多いモーションだが、敢えて選択したのはバッターを打ち取れる自信があったからだろう。
ランナーはそれを見てホームスチールを敢行する。バッターはフルスイングで応える。あるいは最初からランエンドヒットのサインが出ていたのかもしれない。最終的に血豆を潰してまで全力投球したピッチャーが勝利するのだが、そこに至るまでに一貫して描かれるのは三者の交錯する思考と思惑、ひとつの壮大なドラマだ。助詞を極力省いた文体に一箇所だけ比喩表現が入っていたりするのも面白い。
参照用リンク: #date20200514-211507
一見して読みにくく、読むのをやめようかと思いつつも頑張って読んでみたらあら不思議、夏の野球大会の一場面がこんな風に描けるなんて思ってもみませんでした。ちょくちょく謎の単語が挟まるのがシュールさを増して良いですね。肉刺が”まめ”であるのは知りませんでした。ホームスチール、恰好いいですね。
参照用リンク: #date20200513-124253