第194期予選時の、#4遷移(霧野楢人)への投票です(3票)。
整然とした都市も、人間がいなくなればいずれ草木が生えて森になる、といった空想をする話か。植物の名前と思われるカタカナ語が立て続けに出てくるのが印象的で、都市のアスファルトやコンクリートの隙間からそれらの植物が逞しく生えてくることを想像すると、何となく愉快な気分になってくる。しかし、それは同時に人間という存在が否定されていることのようにも思えてきて、寂しい気持ちになる。
この作品には自然回帰への強い憧れのようなものが表現されていて、共感できる部分も確かにあるのだけど、思いの伝え方が一方的な感じもしてしまう。ただ都市が森になってしまうだけでは寂しい気がするし、物語がそこで全て終わってしまうような気がしてしまう。
千文字小説の場合は、文字数が短いので、この作品のように一瞬の思いを切り取るというのもアリだと思うが、個人的には、何か満たされないもの(寂しさ)が残ってしまうなというのが素直な感想(むしろそれが狙いかもしれないが)。
それから、一段落目と二段落目は、少しもたついているというか、無駄な感じがしてしまう。(euReka)
参照用リンク: #date20181126-200503