第180期決勝時の、#9いつか私を殺しにくる(euReka)への投票です(2票)。
正直、どれも微妙だった。
これがものすごい面白い!! というのがないのがちょっと悔しい。
これが一番温度を感じたので、こちらに。
他は、字面だけ追っていました。
参照用リンク: #date20171005-002753
今回、私の予想は大幅にはずれた。というか、ずば抜けた作品がなかったからか。一押しであった「遠い西洋」は撃沈し、予選通過した作品の中に票を入れた作品は一作しかなかった。
「いつか私を殺しにくる」
この作品単独で見れば、あるレベルに達していると思う。ただ、作者の作品を群で見た場合、この作品にあまり魅力を感じはしなかった。こういった単体以外での評価の方法は間違いなのかも知れないが、作者の作風に魅力や憧れを持っている私にとって、群の流れの一部として捉えることは、毎月毎月、読んだ積み重ねだとして解釈してほしい。
セオリーが浮き立ってしまい、力づくで作り上げた感覚をまず持った。だから、悪魔で個人的な感覚に従えば、伏線のような効果ではなく、すべてがこじつけに見えてしまったということになる。でも、予選通過作の中では一番良かった。
「川向の喫茶店」
脱サラして喫茶店を構えたということは、主人公の意思で喫茶店を構えたと解釈できる。でも、経済活動禁止の喫茶店経営は「脱サラ」に値するのであろうか。「脱サラ」か「追いやられ」かの違いが、作品の根幹でもあると考えるから、そこでまずつまづいてしまった。
経済活動ができない、国の保護下ということは、今でいう「生活保護」に値すると思う。税金を使ってインスタントコーヒーを淹れる。だったら、コーヒーを淹れるスキル(何かを極める)を身につけなければ、何のために主人公は存在しているのであろう。そして、そのコーヒーをすする老人も老人でインスタントコーヒーの対価を提供する姿勢が分からない。
(ん、ちょっと待て)
「川向の住人は一切の経済活動から身を……」と言うことは主人公の目線は川のこちら側(主人公の目線は常にビルのある側から経済活動禁止の川向を向いている)にある。と、なると冒頭「脱サラして川辺に喫茶店……」の川辺とは川のこちら側(ビルのある側)ということも成り立つ。でも、経済活動ができないということは、川のあちら側(川向)を言っていることになる。あー、もう分からない。誰か解説できる人いますか。
全てが夢想であると仮定するなら、実際の主人公はビルの側にいるのではないだろうか。そんなことも考える。
「闇と光と」
作者の最近の作品は、テーマである「家」をからめれば良し、というような書き方で好感が持てない。「家」は単に場所であり、そこでどう人間が動くかが重要なのではないだろうか。その動きが書かれていない。それが、私の消化不良の原因である。
今作では、隣の住人の言葉が重要な要素になると思うが、それを言わせるだけ言わせておいて、そう言わせた理由や主人公と隣の住人との関係性、主人公が何故、死のうとしているのか、なんてものが全て抜け落ちてしまっている。他の作者であれば、そういった書き方もまたありか、と思わせる可能性もあるが、この作者には良くも悪くも、もっと丁寧な描写を期待している。別の見方、次作に続く要素と捉えるならば、連作の希望もあるが、「アプローチ」以降で連作の線はないということがわかってしまったので、どうも後味が悪いのである。
参照用リンク: #date20171004-222402