第17期決勝時の、#7(削除されました)(-)への投票です(2票)。
予選では『木』と『DRIVE』を推したのだったが、四つ並べられてみるとどれもなかなか好いように思えてくる。何度めかに読み返したが、それぞれに吸着力がある。
『DRIVE』は何の話だかよく判らないが『マンホールの家族』には無理がない、という感想があって、面白いとおもった。私の感じ方とは全く逆だったからだ。
散文は歩行、詩は舞踏、という有名な喩えがある。歩行には特定の地点へ到達するという目的があるのに対して、舞踏はその途中の動きの華麗さを表現する。目的地などは無くてもかまわない、ということだろう。
『DRIVE』は明らかに舞踏であり、それが明確なので、安心して読めた。『マンホールの家族』も、マンホールの蓋を頭に載せている一家という題材は超現実であり、舞踏の要素を含むが、私にはどこか目的地があるようにも感じられ、それが見えてこない苛立ちがあった。
『十二月、九龍尖沙咀にて』もよかったが、結局、初読で最もインパクトの強かった『木』にした。何度読んでも会話の網の目にずるずると引き込まれてしまう。
今期は誰が優勝しても複数回ということになる。年に二回機械的に新作家を作り出す某賞よりよほどマットウだとも言えるが、顔ぶれが固定して来るのは寂しいような気もする。今期は一票足らず予選を抜けられなかった『蜂』の江口さんと『かえりみち』のやすもとさん辺りが、いわば新人賞ということになるかも知れない。今後の作品に期待しています。
参照用リンク: #date20040122-100804
木:単純におもしろかった。
マンホールの家族:やや面白かった。
十二月、九龍尖沙咀にて:あっさりしていた。
DRIVE:「イメージ」に留まった。
参照用リンク: #date20040118-221619