第130期決勝時の、#5終章(なゆら)への投票です(4票)。
#5 終章
何度読んでも唸らされます。本当にこれが七百字弱の中に納まっているのが信じられません。物語の流れが枝分かれすることも弱まることもなく続いていて、とにかく無駄がない。かといって枝葉が全て削ぎ落とされているわけでもなく、そこに余裕すら感じます。これはすごい。
#7 ハンデぃモップ
今期一番の衝撃でした。普段とは異なる視点で世界が描き出され、読者としてそれを体験できることが素直に楽しかったです。
ただ、文体のインパクトが強烈な分、語られる内容や話の展開という点ではあと一歩、と感じました。
#10 骨董通り
最後の、足元に置いてあったセパタクローの球を胸元に抱え込む描写と、輝いている妻を見せるだけで成り立っている対比が秀逸だと思いました。
作者さんの言葉の選び方、見せ方にはいつも舌を巻いてしまうのですが、今期のような勢いやインパクトの強い作品の中では少し物足りなく感じてしまいました。
参照用リンク: #date20130807-025823
#5 終章
どうにもならない悲しさ。鬼に生まれ出づる悩みとでも言うのでしょうか。
それでも娘だけは大切にするこの父鬼と娘の関係性は興味深く思いました。
純粋に文章の構成力が素晴らしいと感じました。
徐々に読者を自然と無理なく引き込んでいくように作られていて、気持ち良さすら感じました。
それもふまえて今期はこの作品に一票入れさせて頂こうと思います。
#7 ハンデぃモップ
言葉遊びのような試みは面白いと思いました。
ただそれだけに作為的な部分が目立ってしまったようにも思います。
#10 骨董通り
のらりくらりと本題をかわし続けるかのような不思議な空気感。
予選でも書いたのですが、それがこのお話独特の没入感を演出しているように感じました。
余談ですけどセパタクローって腐っても2000人くらい競技人口いるんですね。すごい。
参照用リンク: #date20130806-012332
『ハンデぃモップ』は面白いのかもしれないけれど、読みかけてすぐに疲れた。想定読者じゃないのだと思う。
『骨董通り』は端麗。きちんと読める。なんか落ち着く。
でも、今回は『終章』の引っかかり感のほうを推したい。
参照用リンク: #date20130806-004457
5 終章 なゆらさん
読み進めながら話の背景を憶測する楽しさがあった。そして親しげで常識の範囲内にあった言葉の流れが徐々にその域を逸脱して、鬼の話なのか、と分かった時の面白みに「おおっ」ってなった。読後感が一番良かった。
7 ハンデぃモップ (白熊さん)
言葉を巧妙に滅茶苦茶にしてるのは当然注目されるところであって、かつ改ざんを脳内で修正してみると意外に読みやすい文章であるのが面白いなと思った。自分とは違う匂いのする一日を味わった感。
10 骨董通り (qbcさん)
人間臭さにあふれていてどこか捻じれているのだけれど破たんのまだ見られない生活風景。それが読んでいて滑稽な印象を帯びている。妻がしれっと最近の心中事情について述べるあたりでクスリときた。
参照用リンク: #date20130804-221654