第30期 #1

一ヶ月のクリスマス

クリスマスイブまであと一週間だ。

僕はほとんどテレビなんか見ない。
一年でこの時期ぐらいだ。
当然新聞も読まない。

しかし、びっくりする出来事が多すぎるね。
あっという間に感じても、一年を通せば
やっぱり色んな事があるんだね。

韓流ブームってすごいよね。日本中が熱狂してる。
それに新球団も誕生したりと、明るい話題もいっぱいあれば
逆に、悲しい事件もいっぱいある。

ただ、だからどうするかと言ったって、
この世に生きている以上、この社会を、人間は
生き抜いて行くしかないんだよ。
結構、みんな大変な時代を迎えようとしているね。
これは、間違いないね。

ところで、子供たちはサンタさんを信じているのかな。
信じていないのかな。
サンタさんは本当にいるんだよって、
声を大にして言いたい。

だって、僕が言うんだから正真正銘の事実だ。
会った事だってあるんだから。
話をした事だってあるんだ。
気さくなおじさんだよ。

僕…?

僕の事?

僕と言えば、一年に一回押入れの中から取り出され
全身に飾りを付けられ、ついでにコードのLEDライトを
ぐるっと周囲に巻かれ
一ヶ月間突っ立っている。

ひとよんで
「我が家のルミナリエ」だ。

ただ、一年ぶりに会った子供たちは大きく、元気に
成長しているし、
また僕も含めて、家族全員の穏やかな生活が
一年間繰り広げられていた事実に、何よりも喜びを感じるね。
ほっと安堵もする。

イルミネーションが点灯した時の、子供たちの
活き活きとした目。僕を見つめる輝く目。
去年以上にキラキラしてて、大好きだよ。

お嬢ちゃん。
僕に吊った靴下の上に
「プレゼント、ここにいれてね」
って手紙を付けてる事。

ちゃんとサンタさんに伝えるからね。
きっと喜んでくれると思うよ。

クリスマスイブまで、あと一週間。


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