第161期 #8
銀座の冬は気温が普通の都市と違い、夜が温かい。これは会食を終え、クラブ活動が活発になる10時から午前0時の人口密度の上昇によるもので、おいしいお酒が入って皆の体温も上昇することに起因するようである。閉店時間を過ぎて、お店を後にするが、お熱いカップルは時間の許す限り、アフターのバーにて別れを惜しむのであります。わたくし吉田は、明るくなるまで飲み明かした経験もありますが、さっさと帰宅して午前5時集合の銀座の街で運送作業の立ち合いをしたことがございました。12月のクリスマスのパーテイシーズン、まだまだにぎやかな紳士と淑女の人通りがある早朝、銀座に戻りますと、午前6時になっても7時になっても太陽はビルに遮られ、なかなか気温を上げることができない。その上、どこからともなく寒い風がビルの間を吹きまくるのである。これがまた寒さを増します。天気は快晴ですが、この気温の変化は銀座の特異な気候でありました。
銀座の町並みは戦前から外堀、運河に区切られた水の街でありました、それを一変させたのが、東京オリンピックの首都高速を通すために東京湾に流れ込む川以外、すべて埋め立ててしまう突貫工事をと土地買収を避けたことによるもの。その際に施設した下水道がかなり老朽化しているようです。高さ制限のビルは建築基準の見直しで、かなり階数も増えて凸凹状態、昨年くい打ちの問題もありましたが、地下は道路の下も駐車場や地下街を作っている大通り以外は上水道、ガス、電気の共同溝により整備されているものの、下水道はもともと堀や川にに流していたものを無理やり埋めたようなもの、この24時間動き続ける街の排水を自然の雨水を処理するには限界を超えているようであります。そのため、街を歩くとかなり異様な香りが漂っています。何とか花の香りに変えてもらえないか、恋の物語を語るには清々しいインフラを整備していただきたいものであります。
華といえば毎年1月初旬、銀座のクラブのママたちのパレードがございます。強引な客引きを防止して安全安心な社交の街を守りましょうと、横断幕を手にメインストリートを練り歩きます。公共放送のニュースでも毎年取り上げられ、やはり銀座、新宿や、渋谷ではない、目を見張るきれいどころが集合するので、なぜか普段目にできないこれぞ淑女という華がこんなに咲き誇る真冬のフラワーショーでニュースを見てドキドキするのは私だけでしょうか。