第156期 #3
「ゴミ箱とは、役に立たなくなった不要なものを入れる箱である。」
ゴミ箱には、毎日のように要らなくなってしまったものが入る。それは過去であったり、人間であったり。「あんなことは忘れてしまおう。」と捨てる人間は沢山居る。自分が失敗したことを捨て、自分が恥をかいた記憶を捨て、ゴミ箱には沢山の人間の”恥”がある。そして、または、社会によるゴミが捨てられた。取引先で失敗してしまった、上司に恥をかかせてしまった。嗚呼、色々な”恥”がまたひとつ捨てられてしまった。
またひとつ、またひとつ・・・。
時には自ら落ちてくる者もある。ゴミ箱にどしんっと低く深く落ちる。ゴミ箱が揺らぐ。
「こいつは、処理するべきなのか。」
「ええ、処理するべきですよ、何せ自ら落ちてきた者ですから。」
未知なる蓋が開いた。
しかし、ゴミ箱は何でもかんでも処理するものだと思わないでほしい。ゴミ箱にも、”心”があるのだ。
「こいつは、処理したくはない。」
そう思うと、ゴミ箱からそいつは放り出され、また還るのだ。
それは、社会の資源ともなり、強い心を生むことにもなる。
貴方は、何でもかんでもゴミ箱に放り出してはないですか?